研究課題
食中毒原因菌である腸炎ビブリオは、3型分泌装置1依存的に培養細胞に対して強い細胞毒性を示すが、その作用機序は不明な点が多い。本研究課題ではT3SS1から分泌されるエフェクターであるVepA、VopSについての解析、およびその標的分子の探索を行った。昨年度までにVepAについて単独で細胞毒性エフェクターとして機能することを明らかとした。また、酵母を用いたゲノムワイドスクリーニングによりVepAの毒性に関与する宿主側因子としてV-ATPaseのcサブユニットを同定している。また、VopSについては新規の標的候補分子を同定した。本年度は昨年度に同定したVopSの標的候補分子について、VopSに対する相互作用を検討し、VopSのAMP化活性部位に依存的に相互作用することを見出した。一方で、培養細胞においてこの標的候補分子の発現をノックダウンし、腸炎ビブリオ感染によりVopSの毒性に対する寄与を評価すると、VopSによる細胞形態変化に影響が認められなかったことから、この標的候補分子はVopSの細胞形態変化を誘導する活性には関与しないと考えられた。また、これらVopSに関する解析の過程において、VopSが細胞内で形質膜に局在している可能性を見出した。VopSはRhoファミリー Gタンパク質をAMP化する活性を有することから、VopSの膜局在化が標的となる活性型Rhoファミリー Gタンパク質へのアクセスに有利に働く可能性が考えられた。
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Cell Microbiol
巻: 16 ページ: 938-947
10.1111/cmi.12252