研究課題
リステリアは細胞内に侵入すると、菌体表面に発現したActAタンパク質により宿主タンパク質を積極的に集積させ、細胞内を運動する。しかし、ActAタンパク質の欠損または機能不全により、菌体周囲に宿主タンパク質を集積できない場合、菌体は直接ユビキチン化され、選択的オートファジーによる分解が誘導される。しかしながら、直接的なリステリア菌体へのユビキチン化の機序は未だ明らかでない。そこで本研究では、リステリア菌体のユビキチン修飾に関わる分子の同定およびその機能解析を通し、宿主細胞の自然免疫システムにおける役割の選択的オートファジーの認識機構の解明を目的とした。in vitroユビキチネーションアッセイと液体クロマトグラフィー質量分析法を組み合わせた方法にて、菌体のユビキチン化に関わる候補分子が得られたが、このうち、リステリア側の分子はいずれも菌体表面に発現していることは確認できなかった。昨年度までに、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来MDCK細胞において、宿主側候補因子の一つであるユビキチンリガーゼの発現をノックダウンすると、ActA欠損株の宿主細胞への侵入効率およびユビキチン化される菌体の割合が低下することが分かっている。しかし、MDCK細胞に対して、市販の抗体が反応せず、解析が困難であった。そこで、宿主細胞をヒト結腸がん由来SW480細胞に変更し、MDCK細胞と同様に効率良くActA欠損株に対するオートファジーが誘導されることを確認したうえで、このユビキチンリガーゼの挙動を解析したところ、菌体のユビキチン化の開始と同時期である感染1時間後から、ActA欠損株の菌体周囲に集積することが分かった。
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Journal of Agricultual Food Chemistry
巻: 62 ページ: 6206–6211
10.1021/jf500767p.