研究課題/領域番号 |
24790424
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
細田 浩司 順天堂大学, 医学部, 助教 (40408662)
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キーワード | TREM-1 / リガンド / 敗血症 / 好中球 / 血小板 |
研究概要 |
TREM-1(triggering receptor expressed on myeloid cells-1)は、好中球や単球・マクロファージで発現し、炎症性サイトカイン産 生を促進して炎症反応を増強する。TREM-1の機能を中和抗体などにより阻害すると、敗血性ショックの病態が改善することから、TREM -1は敗血症の病態における炎症反応の増強因子と考えられている。しかし、これまでにTREM-1のリガンドは同定されていない。 これまでにTREM-1が好中球や血小板と結合することから、これら細胞表面にリガンドが発現していると考えられている。そこで本研 究では、クロマトグラフィーや質量分析法などを用いて、TREM-1リガンドを分離・同定することを試みる。 TREM-1全長のC末端にglutathion-S-transferase(GST)を融合したキメラタンパク質を発現するプラスミドを、X-tremGENE HD試薬(Roche)を用いてHEK293細胞に導入し高発現させた。このTREM-1-GSTキメラタンパク質をGST結合カラムで精製した後、マウス白血球やマクロファージ系細胞株であるRAW264.7の細胞溶解液と反応させ、TREM-1-GSTに結合する分子の探索を試みた。その結果、TREM-1-GSTに結合する分子は観察されるものの、結合量が少ないこと、また実験ごとにばらつきがあることから、結合分子の同定に至っていない。 今年度は、TREM-1-GSTの量や反応させる細胞溶解液量を増やし、効率よく安定して相互作用因子を検出することを試みている。また、リガンド分子の存在が予想される好中球や血小板についてもTREM-1-GSTに結合する分子を探索する。そして、リガンドのアンタゴニスト分子を作成し、CLP敗血症モデルマウスに投与することで敗血性ショック の制御を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス白血球やマクロファージ系細胞株であるRAW264.7の細胞抽出液を用いてTREM-1リガンドの取得を試みている。その結果、TREM-1-GSTに結合する分子は観察されるものの、結合量が少ないこと、また実験ごとにばらつきがあることから、結合分子の同定に至っていない。 TREM-1-GSTや細胞抽出液を増やすことで、結合物を増加させ同定を試みている。また、刺激依存的な分子修飾によるリガンド結合活性の変化の可能性も考えられることから、白血球やRAW264.7細胞の前処理(LPS刺激やNETsの生成など)の条件を検討する。まず分子の取得を急ぎ、その後の解析に繋げたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
・大量のTREM-1-GST固定化カラムを用いて好中球や血小板成分、からTREM-1に結合する分子を単離・精製する。さらに、液体クロマトグラフィーや質量分析など(LC/MS/MSやMALDI/TOFMS)によりTREM-1と結合する分子を同定する。現在、結合分子の単離・同定に手間取っており、様々な可能性を考えて研究を遂行している。単離されたTREM-1リガンドでマクロファージ系細胞を刺激し、TREM-1 シグナルによって誘導される炎症性サイトカイン産生をELISAで調べ、リガンドの生物活性を評価する。 ・リガンド分子の同定が当初の研究計画よりも遅れている。TREM-1-GSTへの結合物は検出されるものの、その結合量が少ないこと、また実験ごとにばらつきがあることから、結合分子の同定に至っていない。刺激依存的な分子修飾によるリガンド結合活性の変化の可能性も考えられることから、白血球やRAW264.7細胞の前処理(LPS刺激やNETsの生成など)の条件を検討し研究を行っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
TREM-1-GSTへ結合する分子の取得に思いの外時間が掛かっていることが、研究課題の遂行が当初の予定よりも進まなかった事が使用額が余ってしまった原因である。リガンド候補分子は検出されるものの、実験毎に安定しておらず、結合量も少ないことで分子の同定に至っていない。刺激依存的な分子修飾によるリガンド結合活性の変化の可能性も考えられることから、白血球やRAW264.7細胞の前処理(LPS刺激やNETsの生成など)の条件を検討しつつ研究を行っている。 繰り越し分については、TREM-1固定化カラム作成、白血球を得るためのマウスの購入、マウスからの白血球の単離、液体クロマトグラフィーや質量分析によるリガンド候補分子の同定や、消耗品の購入および研究解析費として使用する予定である。
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