研究課題/領域番号 |
24790426
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
木田 豊 久留米大学, 医学部, 講師 (30309752)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 緑膿菌 / 5型分泌 |
研究概要 |
緑膿菌感染症対策の一つとしてワクチンの開発は重要であるが、今日までに開発された緑膿菌ワクチンは、その効果と副作用について種々の問題を抱えており、新規なワクチンの開発が望まれている。そこで、本研究では緑膿菌の5型分泌蛋白質であるPA4625が、緑膿菌感染予防ワクチンの抗原として有用なのかを解明することを目的としている。平成24年度は、次の成果を得た。(1)大腸菌における組換え体PA4625蛋白質の分泌発現系の構築とその精製:アラビノース誘導型発現ベクターを用いて大腸菌における緑膿菌PA4625蛋白質の分泌発現系を構築した。本発現系におけるPA4625蛋白質の発現は、期待に反して主に菌体内で認められた。菌体外へ分泌された組換え体PA4625蛋白質が微量であったことから、目的蛋白質の精製は効率的ではなかった。(2)ウサギ抗PA4625ポリクローナル抗体の作製:緑膿菌PA4625蛋白質のアミノ酸配列から推測されたエピトープペプチドをウサギに免疫した。得られた抗血清をペプチド固定化カラムにてアフィニティ精製することで、PA4625蛋白質への特異性が高い抗PA4625ポリクローナル抗体が得られた。(3)緑膿菌PA4625遺伝子破壊株の構築:緑膿菌PAO1株のPA4625遺伝子をpYK1-T遺伝子破壊ベクターを用いて破壊した。PA4625遺伝子の破壊をPCR法により確認した。また、GFPあるいはルシフェラーゼ標識緑膿菌PA4625遺伝子破壊株を構築するために、この株へGFPあるいはルシフェラーゼ遺伝子を導入した。これらの遺伝子の導入をPCR法により確認し、蛍光顕微鏡とルミノメーターを用いて機能的なGFPとルシフェラーゼの発現を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
効率的に大量の組換え体PA4625蛋白質を精製できなかった点を除いては、平成24年度の研究計画を当初の予定通りに遂行し、上記の項目の成果を得ることができた。目的蛋白質の精製は効率的ではないが、効率を改善するための方策はいくつか存在し、今後の研究計画を大幅に変更するまでに至ってはいない。従って、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究計画がおおむね順調に進展していることから、平成25年度の研究は当初の計画通りに推進する。一方で、平成24年度は緑膿菌PA4625蛋白質の大腸菌発現系を構築できたが、菌体外へ分泌されるPA4625蛋白質は微量であったことから、組換え体PA4625蛋白質の精製は効率的ではなかった。そこで、平成25年度は当初から予定していた研究項目に加えて、組換え体PA4625蛋白質の精製効率を改善するために、発現させた異種蛋白質を分泌する能力が大腸菌よりも高いブレビバチルスを用いた発現系を検討し、更なる研究の推進を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
組換え体PA4625蛋白質の精製効率を向上させるために、現在検討中のブレビバチルスにおける組換え体PA4625蛋白質の発現系の構築に加えて、平成25年度の当初計画通り、次の項目の研究を計画している。 (1)組換え体PA4625蛋白質のヒト由来細胞株への毒性と付着能の解析 (2)緑膿菌PA4625遺伝子破壊株のヒト由来細胞株への毒性と付着能の解析 (3)緑膿菌PA4625遺伝子破壊株のバイオフィルム形成能の解析 (4)緑膿菌PA4625遺伝子破壊株のマウスへの毒性と定着能の解析
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