研究課題
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は血液寒天培地上で α 溶血性を示すグラム陽性球菌である。本菌は侵襲性肺炎球菌感染症を引き起こす臨床上重要な細菌である。一方、本菌による電撃性紫斑病を含む劇症型症例も多く見られ、劇症型感染の発症機構や肺炎球菌の病原性変化にはまだ説明できない多くのものが残されている。本研究は劇症型肺炎球菌感染症の発症機構や肺炎球菌の病原性変化の分子基盤について解明することを目的とし、解析を行ってきた。1:肺炎球菌のヒトマクロファージ系培養細胞のサイトカインの産生における役割について調べた。マクロファージに分化させたヒト由来培養細胞THP-1 に劇症型肺炎球菌感染症由来肺炎球菌(以下、劇症型 SP と略す)およびそれらと同一の血清型と遺伝子型を示す非劇症由来肺炎球菌(以下、非劇症型 SP と略す)を感染させ、宿主細胞に由来するサイトカイン (IL-8、IL-6、IL-1β)の分泌量を測定した。その結果、肺炎球菌は THP-1 細胞のこれらのサイトカインの分泌を誘導するが、劇症型 SP と非劇症型 SP の間に有意差はみられなかった。2. ゲノムの塩基配列の解読および比較解析を行った。同一の血清型と遺伝子型を示す電撃性紫斑病由来肺炎球菌と非劇症型 SP、各2株の全ゲノム塩基配列を決定した。これら配列情報とすでに公開されているリファレンス株のゲノム情報と比較し、電撃性紫斑病由来肺炎球菌だけが保有する遺伝子群の有無を検索した結果、突然変異はあったものの、電撃性紫斑病の発症に関連するような遺伝子群または外来遺伝子は見られなかった。
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