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2012 年度 実施状況報告書

病原真菌における細胞外ステロール取り込みと病原性の関係

研究課題

研究課題/領域番号 24790428
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

田辺 公一  国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (80370964)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード病原真菌 / ステロール / Candida
研究概要

病原真菌Candida glabrataは宿主体内で細胞外ステロールを利用して生育する可能性が示唆されている。細胞外ステロール取り込みに必須であると予想されるステロールトランスポーター遺伝子AUS1に着目し、遺伝子発現解析、ステロール分析、マウス感染実験を行い、C. glabrataにおける細胞外ステロール取り込みの活性化機構と病原性との関係を明らかにすることを目的とした。
<今年度の成果>
AUS1破壊株を用いたステロール解析の結果、細胞外フリーステロールの取り込みにおいてAUS1が主要な役割を果たすことを明らかにした。また、血清存在下で鉄欠乏シグナルを介したステロール取り込みが活性化されることを明らかにした。さらにマウス感染実験においてAUS1破壊株は腎臓への臓器定着率が有意に低下することを見出した。
以上の結果より、宿主体内(血流感染時)では遊離鉄濃度が減少し、C. glabrataの細胞外ステロール取り込みが活性化されることが推測された。また、ステロール取り込みが臓器定着効率すなわち病原性にも関係する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年間で行う4項目の研究のうち以下の2項目について終了させることができ、論文発表を行った。
1.ステロール取り込みを活性化させることのできる培養条件の検討
2.マウス感染実験モデルによる、ステロール取り込みの病原性における重要性の検討
遺伝子破壊株の作製、ステロール分析、マウス感染実験などのこれまでにほぼ確立していたた実験系を用いて、まず明らかにすべき項目から着手した。実験条件の最適化などの時間が不要であった。さらに、実験結果がほぼ予想通りのものであったため、条件検討などが不要であった。

今後の研究の推進方策

C. glabrata感染マウス腎臓内よりRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析による網羅的遺伝子発現解析を行う予定であったが、十分なクオリティのRNAを調製することが困難であると考えられる。本項目については鉄欠乏条件を感染時の遺伝子発現状態に類似するものであると仮定し、実験を行う予定である。また、質量分析によるAUS1プロモーター領域に結合する転写因子の同定については、技術的に困難な部分が大きいため、現時点ではAUS1の転写活性化に必要な領域の確定までは終了させる予定である。

次年度の研究費の使用計画

DNAマイクロアレイ解析に約半額を使用する予定である。残りは、AUS1のプロモーター解析に必要な試薬・キット類の購入や、消耗品の購入、謝金などに用いる予定である。また、年度末に海外学会発表を行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] The Candida glabrata sterol scavenging mechanism, mediated by the ATP-binding cassette transporter Aus1p, is regulated by iron limitation.2013

    • 著者名/発表者名
      Nagi M, Tanabe K, Ueno K, Nakayama H, Aoyama T, Chibana H, Yamagoe S, Umeyama T, Oura T, Ohno H, Kajiwara S, Miyazaki Y
    • 雑誌名

      Mol Microbiol.

      巻: 88(2) ページ: 371-381

    • DOI

      10.1111/mmi.12189

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Serum cholesterol promotes the growth of Candida glabrata in the presence of fluconazole.2013

    • 著者名/発表者名
      Nagi M, Tanabe K, Nakayama H, Yamagoe S, Umeyama T, Oura T, Ohno H, Kajiwara S, Miyazaki Y.
    • 雑誌名

      J Infect Chemother.

      巻: 19(1) ページ: 138-143

    • DOI

      10.1007/s10156-012-0531-3

    • 査読あり
  • [学会発表] 病原真菌Candida glabrataにおける細胞外ステロール取り込み2012

    • 著者名/発表者名
      田辺公一、名木 稔、中山浩伸、梅山 隆、山越 智、大野秀明、宮崎義継
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・マリンメッセ福岡(福岡県)
    • 年月日
      20121211-20121214
  • [学会発表] Candida glabrataの生体内における病原因子;鉄欠乏における遺伝子発現調節2012

    • 著者名/発表者名
      田辺公一、梅山 隆、金子幸弘、山越 智、大野秀明、宮崎義継
    • 学会等名
      第56回 日本医真菌学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル多摩(東京都)
    • 年月日
      20121110-20121111
  • [学会発表] 病原真菌Candida glabrataの細胞外ステロール取り込み活性化機構2012

    • 著者名/発表者名
      田辺公一、名木 稔、山越 智、梅山 隆、大野秀明、宮崎義継
    • 学会等名
      第41回 薬剤耐性菌研究会
    • 発表場所
      岐阜県下呂市 望川館 コンベンションホール(岐阜県)
    • 年月日
      20121025-20121026
  • [学会発表] Candida glabrataの鉄欠乏における遺伝子発現調2012

    • 著者名/発表者名
      田辺公一、名木 稔、梅山 隆、金子幸弘、山越 智、大野秀明、宮﨑義継
    • 学会等名
      第95回 日本細菌学会 関東支部総会
    • 発表場所
      ホテル日航東京(東京都)
    • 年月日
      20121010-20121012
  • [学会発表] 病原真菌Candida glabrataはユニークなステロールトランスポーターによりアゾール耐性となりうる2012

    • 著者名/発表者名
      名木 稔,田辺公一,山越 智,梅山 隆,大野秀明,宮﨑義継
    • 学会等名
      第86回日本感染症学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール(長崎県)
    • 年月日
      20120425-20120426

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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