研究課題
病原真菌Candida glabrataは宿主に感染した際に、細胞外ステロール取り込みを活性化させて、病原性を発揮するという仮説をたてた。本研究では、①ステロール取り込みが宿主体内で起こるかどうか、②ステロール取り込みが活性化される分子機構、および③ステロール取り込みが病原性において果たす役割を明らかにすることを目的とする。<今年度の成果>昨年度はC. glabrataにおいて鉄欠乏条件でステロール取り込みが活性化されることを見出した。また、マウス感染実験においてステロール取り込みに必須であるAUS1遺伝子を破壊した株の臓器定着率が低下することを明らかにした。今年度は、1.鉄欠乏条件においてDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。2.鉄欠乏条件で発現量が増加しかつステロール取り込みに関わると予想されるマンノプロテイン遺伝子破壊株を複数作製した。3.マンノプロテイン遺伝子破壊株のうち、TIR3破壊株においてステロール取り込みができなくなることを見出した。TIR3はAUS1と同様に細胞外ステロール取り込みに必須であることが示された。4.AUS1の発現量調節にかかわる領域をプロモーターアッセイによって同定した。AUS1のコーディング領域の上流900-1000bpの領域が鉄欠乏による発現量調節に必要であることを明らかにした。以上の結果より、C. glabrataのステロール取り込みに必須である因子を同定し、ステロール取り込みの生理的役割と活性化機構の一端を解明できたと考えられる。
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