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2012 年度 実施状況報告書

動物モデルを用いたハンタウイルス感染症の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 24790433
研究種目

若手研究(B)

研究機関北海道大学

研究代表者

清水 健太  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20466840)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード動物モデル
研究概要

腎症候性出血熱はハンタウイルスの感染によって起こる重篤な疾患である。これまでに私は、腎症候性出血熱患者で認められる腎髄質の出血と類似の病変を発現する動物モデルを初めて開発した。また、同じ患者の血液から分離されたウイルスのなかから、病気を起こすクローン(強毒株)と病気を起こさないクローン(弱毒株)を発見した。さらに、機能的なTおよびB細胞を欠く免疫不全マウスにおいては、腎臓の出血性病変が起こらないことを発見した。これらのことは、ウイルスのゲノム配列の違いに起因するウイルス側の要因と、免疫系の関係する宿主側の要因が病態発現に関与することを示している。そこで、まずウイルス側の要因の同定を試みた。定法により、強毒株および弱毒株のゲノム配列を決定し、比較した。その結果、糖蛋白質コード領域に1塩基、RNA依存性RNAポリメラーゼコード領域に1塩基の違いが認められた。推定アミノ酸配列を比較した結果、糖蛋白質Gnの417位のアミノ酸が強毒株ではグルタミン酸、弱毒株ではリジンであることが明らかとなった。RNA依存性RNAポリメラーゼのアミノ酸配列は同一であった。これらのことから、糖蛋白質Gnの417位のアミノ酸の違いが病態発現に関与することが明らかとなった。強毒株で認められたグルタミン酸は、ハンタウイルス属の間で高度に保存されていた。したがって、このアミノ酸が病態に関与するメカニズムはハンタウイルス属に共通するものである可能性がある。次に、宿主側の要因の同定を試みた。T細胞を欠く免疫不全マウスに強毒株を接種したところ、マウスは無症状で経過した。このことから、病態発現にはT細胞が関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時には予定されていなかった研究室の引っ越しが行われ、ハンタウイルスを用いた実験を実施するために必要な、バイオセーフティーレベル3の実験室の移設、申請に時間を要した。また、感染性材料の保存に使用していたディープフリーザーが故障し、材料を再調製しなければならなくなった。

今後の研究の推進方策

多くの実験は並行して実施することができる。遅れを取り戻すため、可能な限り並行して実施する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に実施予定であった、DNAマイクロアレイやリアルタイムPCRによる遺伝子発現応答の解析や、抗体アレイを用いた血清中のサイトカイン量の解析は、上述した理由で実施できず、平成25年度に延期となった。繰り越した研究費は主にそれらに使用する。平成25年度分の研究費については、当初の予定通りに使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 腎症候性出血熱の動物モデルの開発と病態発現機構の解析2012

    • 著者名/発表者名
      清水健太、吉松組子、駒貴明、伊勢川裕二、天田貴子、西尾佐奈恵、有川二郎
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      グランキューブ大阪(大阪府)
    • 年月日
      20121113-20121115

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公開日: 2014-07-24  

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