研究課題/領域番号 |
24790442
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
湯 華民 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10595896)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | トロピズム |
研究概要 |
着手後、BAC(Bacterial Artificial Chromosome)法及び大腸菌内の組み換え法(RecA組換え法)を用いてHHV-6AゲノムのU97からU100までの領域を欠損させ、gQ1を欠損したHHV-6AのゲノムBAC DNA(HHV-6A-BAC△gQ1)を作製した。作製したBAC DNAにHHV-6BゲノムのU97からU100までの領域を挿入し、HHV-6BのgQ1に入れ替えたHHV-6AのゲノムBAC DNA (HHV-6A-BAC-BgQ1)の作製に成功した。そのBACゲノムを用いて感染性ウイルスの再構築を試みたところ、ウイルスが再構築されなかった。このことから、BgQ1はHHV-6Aの感染におけるAgQ1の機能の代償ができないということが示唆された。現在、ウイルスの再構築ができない原因(ウイルス再構築のどの段階にとどまっているか)を調べている段階である。また、本研究課題と関連する研究で得られた結果、gQ1だけではなく、gQ1とgQ2がペアで機能することが明らかになった。それについて、更なる研究を行う予定である。 一方、HHV-6BのgQ1の一部が含まれるHHV-6AのgQ1(キメラAgQ1)を作製しており、作製したキメラgQ1を、一過性発現系を用いて調べている。それにより、ウイルス複合体の形成およびreceptorとの結合領域の同定に繋がると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の24年度の研究計画で、1.HHV-6A-BAC△gQ1およびHHV-6A-BAC-BgQ1の構築 2.HHV-6A- BAC-BgQ1ゲノムからの感染性ウイルスの再構築 3.感染性ウイルスの再構築に成功した場合 4.感染性ウイルスが再構築されない場合 の4stepを計画していた。そのうち、項目4だけまだ進行中である。しかし、本研究課題と関連する研究で得られた結果、gQ1とgQ2がペアで機能することが明らかになった。現在、gQ1とgQ2のペアでの機能解析を行っている。また、本研究課題の25年度の計画の中で、gQ1の機能領域の同定を計画している。現在、それに関する研究は既に進行している。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題はおおむね順調に進展しており、25年度の研究計画の一部が既に進行している。本年度はgQ1の機能領域の同定に重点をおいて研究を行う予定である。 また、gQ1とgQ2がペアで機能することを明らかにしたことから、今年度、gQ1を入れ替えたBAC DNAから感染性ウイルスの再構築が不可能である原因を調べると共に、gQ1とgQ2のペアでの機能を解析する予定である。特に、HHV-6AとHHV-6Bの宿主細胞への侵入時に、使用するレセプターの違いは、このペアの糖タンパクの違いによるものであるかに重点を置いて研究を進める予定である。これらの研究は、HHV-6AとHHV-6Bとの大きなトロピズムの違い、また他の分子生物学の特徴の違いの解明につながると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度、研究が進行したうえで、12388円の研究費が余った。本研究はおおむね順調に進行しているが、24年度の研究計画のごく一部がまた進行中であるため、その額を25年度に使用させていただきたいと考えている。
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