研究課題/領域番号 |
24790452
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
塩田 智之 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 任期付研究員 (80616144)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | E型肝炎ウイルス / 肝細胞 / 吸着 / 侵入 / 感受性細胞 / 非感受性細胞 / 感染性規定宿主因子 |
研究概要 |
1)パンニング法。レトロウイルスベクターを用いたHEV感受性細胞からの高品質cDNAライブラリの構築は未完である。種々のコントロール実験の結果、今後販売が中止となるライブラリ作製キットの品質に疑義が持ち上がり、キットの再選定を行っている。一方で、他社のPCRを介在させる(多様性が下がる)方法でのライブラリ構築に成功し、パッケージング細胞への導入によって組換えレトロウイルスを得て非感受性細胞へ感染させ、ライブラリ由来蛋白質を発現させた。この細胞をE型肝炎ウイルス固相化プレートによって選択補足し、結合した細胞からゲノムを回収し、ライブラリ由来cDNAを同定した。しかし、導入ベクター配列が存在せず、非特異的吸着と併せ、HEVレセプターの同定には至っていない。 2)HEV感受・非感受性細胞の網羅的遺伝子発現解析。当該細胞から抽出してラベリングしたcRNAプローブを作製し、遺伝子発現解析用マイクロアレイにハイブリダイズしてスキャニングした。当該細胞間での発現差からレセプター候補遺伝子が呈示された。 3)HEV感受・非感受性細胞の二次元電気泳動解析。当該細胞の二次元電気泳動解析より、相違2因子について質量分析を実施、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素 (GAPDH)とFatty acid-binding protein 2 (FABP2)を同定した。GAPDHは、ハウスキーピング遺伝子の一つとして、細胞の生存・維持に関わり、どの細胞でも一定量発現している遺伝子の一つである。また、FABP2は、peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR: 炭化水素、脂質、タンパク質等の細胞内代謝と細胞の分化に密接に関与している転写因子)のシグナル経路に関連しており、細胞内機能から感染への関与機構の解明への端緒となる可能性を内包している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)パンニング法。複雑度は落ちるものの、他社製のキットにより感受性細胞cDNAライブラリを作製出来たことは大きな一歩であり、計画は概ね達成されたと考えている。 2)HEV感受・非感受性細胞の網羅的遺伝子発現解析。当該細胞間での発現差からレセプター候補遺伝子が呈示されたことから計画は概ね達成されたと考えている。 3)HEV感受・非感受性細胞の二次元電気泳動解析。感染性規定宿主タンパク質の候補が2つ同定されたことより計画は概ね達成されたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
1)パンニング法。十分量の細胞由来mRNAを確保できれば、同一キットでPCRを介在させない方法によってライブラリの構築が可能である。従って、本年度はその実現を目指す。 2)HEV感受・非感受性細胞の網羅的遺伝子発現解析。当該細胞間での発現差からレセプター候補遺伝子が呈示されたが、その数は膨大である。そこで、ヒートマップを始めとしたバイオインフォマティクスの手法でレセプターを始めとした感染性規定宿主因子の同定を目指す。また、ウェットな手法での実証実験も併せて行う。 3)HEV感受・非感受性細胞の二次元電気泳動解析。同定された感染性規定宿主タンパク質候補のsiRNAによるノックダウンがHEV感染に与える影響を検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|