研究課題/領域番号 |
24790453
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
中津 祐一郎 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 研究員 (70572113)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 麻疹ウイルス |
研究概要 |
麻疹ウイルスの病原性を左右するCタンパク質の機能発現機序を解明するために、親和性タグを融合したCタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルスの作製を試みた。まず、Cタンパク質の機能を阻害しない親和性タグの種類および付加部位を決定することが必要であった。そこで、親和性タグであるStrepIIタグとFLAGタグをプロテアーゼ認識配列で連結させたタンデム親和性タグをCタンパク質の異なる部位に付加したCタンパク質を発現する哺乳類細胞用の発現ベクターを作製した。このベクターを用いて、Cタンパク質の主要な機能であるウイルスRNA合成の阻害能が、Cタンパク質のC末端へのタンデム親和性タグの付加により損なわれないことを、minigenomeによる解析にて確認した。ウイルスRNA合成阻害能が損なわれないことを確認したタンデム親和性タグ付加C遺伝子を、以前に報告しているC遺伝子を独立に発現する組換え麻疹ウイルス作製用の麻疹ウイルスゲノムをコードするプラスミドに導入した。 また、Cタンパク質の既知の機能である、ウイルスRNA合成阻害能の分子基盤を解析する事を目的として、ウイルスRNAポリメラーゼやヌクレオカプシド、ゲノムRNAからなるRNP複合体と相互作用する宿主因子の検索を行った。その結果、ウイルス感染細胞において、宿主の細胞内小胞輸送に関与するRab11と麻疹ウイルスのRNP複合体が共局在し、さらにそこにCタンパク質が存在することを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載した研究実施計画で予定していた、組換えウイルス作製およびタンパク質質量分析法を用いたCタンパク質と相互作用する宿主因子の同定が行えなかった。一方で、麻疹ウイルスRNP複合体とCタンパク質が、新規宿主因子Rab11と相互作用することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
親和性タグCタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルスを作製し、タンパク質質量分析法により、感染細胞内でCタンパク質と相互作用する新規宿主因子を同定する。また、上記の方法で同定された宿主因子や、今年度の解析で同定された宿主因子Rab11を検出できる抗体や、発現抑制するためのsiRNA系を検索し、それらを用いて新規宿主因子の麻疹ウイルス病原性における重要性の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費分を、今年度に実施できなかった組換えウイルスの作製、親和性カラムを用いたタンパク質精製に使用する。また、当初の研究計画書通り、翌年度請求する研究費を使用する。
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