研究課題/領域番号 |
24790453
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
中津 祐一郎 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 研究員 (70572113)
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キーワード | ウイルス |
研究概要 |
麻疹ウイルスの病原性を左右するCタンパク質の機能発現機序を解明するために、親和性タグ融合Cタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルスの作製を試みた。前年度に作製した、C末端側に親和性タグであるStrepIIタグおよびFLAGタグを連結させたタンデム親和性タグを付加したCタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルス作製用の麻疹ウイルスゲノムプラスミドを用いて、組換え麻疹ウイルスを作製した。また、実験のコントロールとするために、タンデム親和性タグを付加していないCタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルスおよびCタンパク質そのものを発現しない組換え麻疹ウイルスも作製した。これらのウイルスを解析した結果、Cタンパク質に付加したタンデム親和性タグは、組換え麻疹ウイルスの増殖能に影響を及ぼさず、タグのないCタンパク質と同様に正常に機能していることが確認できた。また、親和性タグに対する抗体を用いた免疫染色法により、組換え麻疹ウイルス感染細胞内で、タンデム親和性タグを付加したCタンパク質が正常に発現していることも確認できた。また、麻疹ウイルスのRNP複合体とCタンパク質、宿主の細胞内小胞輸送に関与するRab11が共局在することを前年度に報告していたが、Cタンパク質に親和性タグを付加しても同様の共局在が観察できることを確認した。これらの結果より、タンデム親和性タグはCタンパク質の機能に影響を及ぼさないと考えられ、Cタンパク質と相互作用する宿主因子の同定に非常に有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに作製したタンデム親和性タグ融合Cタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルスの性状解析に多くの時間を使い、その評価を十分に行った。その結果、当初の研究実施計画で予定していた、タンパク質質量分析法を用いたCタンパク質と相互作用する宿主因子の同定を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
組換えウイルスの評価は十分に行えているので、親和性カラムを用いた精製およびタンパク質質量分析法を実施し、感染細胞内でCタンパク質と相互作用する新規宿主因子を同定する。また、上記の方法で同定された宿主因子や、これまでに同定された宿主因子Rab11関連の分子を検出できる抗体および発現抑制するためのsiRNAを用いて、麻疹ウイルスの病原性における新規宿主因子の重要性を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に実施する予定であった、親和性カラムを用いた精製およびタンパク質質量分析法による感染細胞内でCタンパク質と相互作用する新規宿主因子の同定が実施できなかったため。 次年度使用額を、今年度に実施できなかった親和性カラムを用いた精製およびタンパク質質量分析法に使用する。また、当初の研究計画通り、翌年度請求する研究費は抗体やsiRNA等の購入に使用する。
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