【Foxp3の転写メカニズムの解明】について 免疫恒常性維持機構に携わる制御性T細胞のマスターレギュレーターFoxp3に対するIkB-zetaの役割についての検証を行った。 当初、IkB-zetaを欠損したT細胞は、TGF-beta刺激による制御性T細胞の分化誘導能を欠損しているかのように見えたが、実は、過剰なIFN-gamaと呼ばれる炎症性サイトカイン産生をするため、TGF-beta刺激存在下でも、Th1と呼ばれるヘルパーT細胞に分化誘導する事がわかった。このIFN-gammaなどの炎症性サイトカインの影響を排除するため、中和抗体を用いて再びIkB-zetaを欠損したT細胞にTGF-beta刺激を行うと、制御性T細胞の分化誘導能が回復し、野生型マウス由来のT細胞よりもむしろ分化誘導能が向上しているように見えた。Foxp3リポータープラスミドを用いたリポーターアッセイを行った結果、IkB-zetaは、Foxp3のプロモーターと呼ばれる遺伝子発現制御部位に作用し、その発現を負に制御している事が明らかとなって来た。また、レトロウイルスを使用したIkB-zetaの過剰発現の系においては、TGF-beta刺激存在下において、Foxp3の発現を負に制御しているとの基礎データも得る事が出来た。
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