研究課題
これまでに私たちは、CD62LloCXCR3loの細胞表現型を示す細胞中に、IL-5を特異的に産生し、アレルギー性気道炎症を誘導するpathogenic(病因性)記憶Th2細胞を同定している。また、記憶Th2細胞の中でも特にpathogenic記憶Th2細胞は炎症性サイトカインIL-33の受容体であるT1/ST2を強く発現していることを見いだしている。本研究では、IL-33-T1/ST2経路による記憶Th2細胞のpathogenicityにおける役割について解析を行った。まず細胞レベルでIL-33の記憶Th2細胞に対する作用について解析を行った。IL-33により記憶Th2細胞のIL-5産生上昇(pathogenicityの亢進)が認められたが、T1/ST2欠損記憶Th2細胞ではこのような効果は認められなかった。またマウス個体レベルでの解析でもIL-33により、記憶Th2細胞依存的なアレルギー性気道炎症の増悪化が認められ、この増悪作用はT1/ST2欠損マウス、もしくはIL-33欠損マウスでは認められなかった。平成25年度は、上述したIL-33による記憶Th2細胞のpathogenicity亢進作用をヒト臨床検体に発展させた。慢性副鼻腔炎患者の鼻ポリープ組織中に浸潤している記憶Th2細胞を回収し、IL-33に対する作用を解析したところ、マウスで得られた結果と同様に、IL-5産生の上昇、pathogenicityの亢進が認められた。現在、上記の内容について論文投稿中である。以上の結果より、私たちがマウスで発見したIL-33-T1/ST2による記憶Th2細胞のpathogenicityの亢進作用はヒト臨床検体でも認められたため、今後は、IL-33-T1/ST2-pathogenic記憶Th2細胞特を標的とした抗体療法への応用を行う予定である。
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