研究課題
フロントプロモーター下流でGFPを発現する「フロント」発現可視化マウス由来の骨髄細胞(フロント-GFP細胞)のGFP発現強度を比較することにより、血球系細胞サブセット間でのフロント発現強度の違いを解析した。CAGプロモーター下流に全身性にGFPを強制発現させたマウス由来の細胞(CAG-GFP細胞)におけるGFP発現パターンと比較解析を行った結果、フロント-GFP細胞はCAG-GFP細胞とは異なるGFP発現パターンを示した。中でもCD11b陽性Ly6Chi陽性の単球系の細胞においてGFP発現強度が高く、フロントが高発現していた。次にフロント発現強度とケモカイン刺激依存的な細胞遊走活性との関連について解析した。野生型またはフロント-GFPマウス由来の骨髄細胞を調製し、Boyden chamber法にて上層からケモカインを含む下層に遊走した細胞を回収し、フローサイトメーターを用いてGFP強度を解析した。フロントが結合することが分かっているCCR2のリガンドであるCCL2刺激に対する遊走細胞のGFP発現パターンと、別のケモカイン受容体CXCR4のリガンドであるCXCL12に対する遊走細胞のGFP発現パターンは全く異なっており、CCL2に対して遊走した細胞はGFPを高発現していた。次に遊走細胞のサブセットを特定するため、予め骨髄細胞を表面抗原マーカーに対する蛍光標識抗体でラベルし、遊走細胞の細胞サブセットごとのGFP発現強度を測定した。その結果、CCL2に対して遊走した細胞は単球のマーカーを発現し、GFP発現強度が高かった。CXCL12に対して遊走した細胞には高発現細胞は少なかった。以上の「フロント」発現可視化マウス由来の細胞の解析より、単球系の細胞にフロントが高発現しており、これらの細胞はCCR2刺激に対して効率的に遊走することが明らかとなった。
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