樹状細胞などの抗原提示細胞による抗原提示は、感染時の免疫応答において獲得免疫誘導の最初の一歩であり、自然免疫応答において惹起される。しかしながら、その時空間的な活性化制御機構については、未だ不明な点が多い。 自然免疫学分野における細胞生物学的な解析から、これまでTLRリガンドによる活性化については動員されるシグナル伝達分子によって多く議論されてきた。しかし近年、新しく細胞内の空間制御による活性化プラットホームという概念が与えられつつある。インターフェロン産生、炎症性サイトカイン産生、さらに活性酸素についてそのプラットホームが次々と解明されていく中、抗原提示についても既に微小管依存的な管状リソソーム形成が中心的役割を担うとして報告されているが、その分子機構についてはLPS依存的かつMyD88非依存的であるということ以外何もわかっていなく、本研究では、その抗原提示活性化のプラットホームの活性化と分子基盤の解明に迫った。 一部相反する応答をもたらすTLR4リガンド、LipidAとMPLによる刺激後の受容体及びアダプター分子の動態解析を行い、その動態と会合分子から抗原提示プラットホームとその応答の分子基盤の解明を試みた。特徴的な分子動態を示したアダプター分子TR間に注目し解析を進めた。結果、その会合分子について、Lc-Ms/Msを用いて、2つのリガンドの間に会合の異なる分子を複数同定した。現在その分子を対象とした詳細な検討を加えている。 更に本研究で得られた成果の一部は国内及び国際学会で発表する機会をもてた。
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