研究課題
脂質リン酸化酵素であるphosphoinositide 3-kinase (PI3K) とその下流に存在するAkt-mTORC1経路が、Th17分化を正に制御することを見出したため、このPI3K-Akt-mTORC1経路のTh17分化における分子メカニズムを探るため、特にTh17に関与する転写因子であるRORgtおよびGfi1に着目して、その分子機構を明らかにすることを目的とした。平成24年度までに、このPI3K-Akt-mTORC1経路の下流に存在する2種類のp70S6K分子(p70S6K1およびp70S6K2)が関与し、Th17分化を正に制御していることを明らかにした。すなわちp70S6K1は転写因子Egr2を活性化し、これがRORgtの抑制因子であるGfi1の発現を阻害することから、結果的にRORgtの発現を正に制御することを明らかにした。また、p70S6K2はRORgtと結合してその核移行を促進することも示した。平成25年度には、Th17細胞と対照的なTh細胞の一種であるiTreg細胞の分化について、このPI3K-Akt-mTORC1経路による制御に関して検討を加えた。その結果、TGFb経路に作用する新たなシグナル経路を見出したため、現在論文としてまとめ、投稿中である。なお、平成24年度の成果をCell Reports誌に論文として発表し、さらに平成25年度においてはこの成果も踏まえてPI3K-mTOR経路とTh細胞の分化についての総説を、Genes to Cells誌およびAnnals of the New York Academy of Sciences誌にそれぞれ発表した。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件)
Immunity
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