研究課題
B細胞の活性化や分化は様々な転写因子によって制御されており、その破綻は自己反応性B細胞の出現を伴う自己抗体の産生により自己免疫疾患に至る。我々が作製したB細胞特異的pKnox1欠損マウス(CD19-Cre;pKnox1fl/fl)は、腎糸球体へのIg沈着や抗核抗体など、加齢に伴う自己免疫様症状を呈する。これらの原因を解明するためCD19-Cre;pKnox1fl/flマウスのB細胞分化や抗体産生に注目し、詳細に解析した。CD19-Cre;pKnox1fl/flマウスのB細胞の分化段階を網羅的に調べたところ、コントロール (CD19-Cre;pKnox1+/+)と比較して辺縁帯B細胞数の減少が認められた。しかしながら、骨髄でのB細胞初期分化並びに脾臓における濾胞B細胞には変化はない。未免疫CD19-Cre;pKnox1fl/flマウスの血中抗体量を解析したところ、IgM以外のクラススイッチ後のアイソタイプ(IgG1、IgG2c、IgA)の産生量が減少していた。さらに、T細胞依存性抗原であるNP-CGGを抗原として免疫し、ハプテンNP特異的抗体を調べた結果、NP特異的IgG1産生の減少、胚中心形成の遅延、抗体の体細胞超突然変異減少、親和性成熟の遅延が認められた。この原因を調べるためにRT-PCRによる遺伝子発現解析を行ったところ、CD19-Cre;pKnox1fl/flマウスの骨髄及び脾臓B細胞では、コントロールと比較してクラススイッチ及び体細胞突然変異に必須の組換え酵素であるAID並びにその発現制御に関わるHoxC4の発現が低下していた。HoxC4転写制御領域にはPbx-pKnox1結合配列と相同性の高い配列が存在することから、CD19-Cre;pKnox1fl/flマウスのB細胞機能異常の一端が、pKnox1欠損によるAID発現制御機構の異常に起因する可能性が示唆された。
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International Immunology
巻: 26 ページ: 195-208
10.1093/intimm/dxt057. Epub 2013 Nov 27