研究課題
B細胞自己免疫寛容・維持において、B細胞抗原受容体(B cell receptor: BCR)からのシグナル伝達に必要なアダプター分子CIN85が何らかの役割を担っている可能性を検証するために以下の様なマウス実験系を用意した。(i)B細胞特異的にCIN85遺伝子を欠損するマウス。コンディショナルノックアウト(KO)マウスであるflox-CIN85マウスとB細胞特異的にCreを発現するmb1-Creノックイン(KI)マウスを交配し、[CIN85/mb1-Cre KOマウス]を作出した。(ii) iで作出したB細胞特異的CIN85遺伝子欠損マウスを自己免疫寛容のモデル系として実績のある、ニワトリ卵白リゾチーム(hen-egg-lysozyme: HEL)を認識するBCRを持つトランスジェニックマウス(Tg) [HEL Ig Tgマウス]と擬似的自己抗原である可溶性HEL蛋白質を体内に発現するTgマウス[sHEL Tgマウス]を交配した。(iii) CIN85と相同性が高く、遺伝子欠損を互いに補償する可能性のあるCD2AP遺伝子コンディショナルマウスを作製し、CIN85との複合遺伝子欠損マウス[CIN85/CD2AP/mb1-Cre dKOマウス]を作製した。(iv) iiで作出したマウスは出現頻度が低いため、解析を容易にするために、CIN85 B細胞特異的遺伝子欠損マウスとHEL Ig Tgマウスを作出し、sHEL Tgマウスをレシピエントマウスとした骨髄キメラマウスを作製中である。現段階で得られた結果ではCIN85が自己免疫寛容の誘導、維持に関わることを示す決定的な結果は得られていない。CIN85/CD2AP dKOマウスによる解析により、何らかの結果が得られる可能性がある。
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Immunity
巻: 39 ページ: 136-147
10.1016/j.immuni.2013.06.011