研究課題/領域番号 |
24790496
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 平徳 千葉大学, 看護学研究科, 特任助教 (90612200)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 専門職連携教育 / IPE / 専門職連携実践 / IPW / 組織学習 / 職場学習 |
研究概要 |
本研究は、医療保健福祉現場での専門職連携実践能力開発に向けた環境形成、研修内容・評価、専門職連携教育の改善に資する知見を獲得することを目的としている。 平成24年度は、とくに学習理論や教育理論についての文献を検討し、意識化された能力開発である医療保健福祉現場内での研修と、能力開発の重大な契機でありながら無意識的で埋没しがちな日常業務とそこでのかかわりの両面においての学びや専門職連携実践能力の開発について理論的に意味づけ整理を行った。 意識化された能力開発である医療保健福祉現場内での研修については、現場の働き手であると同時に学習者である成人の学習の特性を扱うノールズの「アンドラゴジー」の概念や、メジローの「変容的学習」が重要であることが明らかとなった。無意識的で埋没しがちな日常業務での能力開発については、日々の経験や実践を自らの学びにしていくことを扱うデューイの経験学習の理論や、経験による学習を加速させるショーンの「省察:リフレクション」の概念、コルブの「経験学習モデル」が、また、日常業務でのかかわりによる能力開発については、学びにおける他者の存在を扱った社会的構成主義の考え方や、ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」という概念、実践のなかでの他者との関係に焦点を当てたレイヴとウェンガーの「実践共同体」や「正統的周辺参加」の概念、組織のなかで自らも学び、組織自体も自らを改善しつつ成長していくという組織学習の理論、それらをふまえお互いに学び合い、改善し続けられる組織を目指すセンゲの「学習する組織」という概念が非常に重要であるということが明らかとなった。 医療保健福祉現場での専門職連携実践能力開発と専門職連携教育の改善を検討していく上で、その環境での学びのあり方を、学習理論や教育理論によって学問的に意味づけることができたことは非常に意義あることと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、文献検討、具体的調査、学会報告・論文化への考察という3つの軸を立てている。平成24年度は、学習理論・教育理論に関する文献検討をより深く行うことによって研究者の知識と理解を深めることを優先した。そうすることで、研修プログラムへの参加観察やフィールド観察によって得られる成果を高くすることができ、研究協力者である研修企画者や専門職者への研究者からのフィードバックがより意味のあるものとなり、研究協力者や医療保健福祉現場への貢献ともなると考えたためである。具体的調査を平成24年度中から開始する予定であったため、やや遅れているとも評価できるが、具体的調査を行ううえでの学問的視座が得られたことは大きな前進であるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
医療保健福祉現場での具体的調査をおこなう(研修プログラムへの参加観察、企画者と受講者に対するインタビュー、専門職連携実践能力が高いと思われる専門職者に対する行動結果インタビュー、協力者への非参与フィールド観察(シャドーイング)等)。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、学習理論・教育理論に関する文献検討をより深く行うことによって研究者の知識と理解を深めることを優先し、具体的調査のための研究費を使用しなかったため、未使用額が発生した。平成25年度は主に具体的調査とその分析にかかわるものに研究費を使用する計画である(複数の調査対象機関での観察・インタビューなどでの交通費、インタビュー協力への謝品購入費、収集したインタビューを文字化するための人件費等)。
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