平成26年度は25年度までに行ったアンケート調査、聞き取り調査の結果の分析を実施するとともに、入手可能な外傷関連指標の市町村および都道府県単位の時系列データを用いてセーフコミュニティ活動と外傷関連指標の評価を行った。 セーフコミュニティ認証自治体において55-84歳の中高年層を対象に実施したアンケート調査では、1)75歳以上高齢者では転倒のリスクが自宅内、外出先のいずれにおいても高く、特に女性では骨折を伴うけがをする割合が高いこと、2)高血圧、心臓病等の持病がある者、睡眠薬や不安をおさえる薬を服用している者で、転倒のリスクが高い傾向があること、3)交通事故対策として推奨されている外出時の反射材については、使用者の割合は10%未満にとどまっており、教育啓発活動への工夫が求められること、4)平成26年2月の豪雪災害時の経験から、家族だけでなく近隣住民との間でも、緊急時に備えた関係を日頃から構築しておくことが確実な共助につながること、などが明らかになった。 外傷関連指標として、各自治体の交通事故による死亡や重症例の発生率の年次推移を分析し、セーフコミュニティ活動に取組む自治体と近隣の自治体との比較を行ったところ、2013年までの結果では明らかな差異は認められなかった。一方で、セーフコミュニティ認証自治体の乳幼児健診を通じて、家庭における外傷予防について時系列で評価を行ったところ、家庭での外傷予防行動については改善傾向が見られるものもあり、安全教育の効果が示唆された。 セーフコミュニティ活動は、わが国においては端緒についたばかりであり、現状では、外傷の発生などのアウトカム指標よりも、行動の改善等や住民参加の状況といった中間指標、プロセス指標を中心に継続的な評価を実施することが重要である。今後も、各自治体や住民の協力の下で、より効果的な活動のあり方について分析・評価を続ける予定である。
|