本研究では,電子カルテシステム,医療連携システム等に蓄積されている医療情報について,任意の項目を容易に組み合わせて集計,検索できるインタフェースを提供し,データベース等に関する技術的知識がなくとも容易に分析を可能にする,OLAP(On-Line Analysis Proccessing)システムの構築を目的としている.これまで,オンメモリ型データマートを備えたBI(Business Intelligence)システムを活用し,糖尿病患者の抽出インタフェースを構築した.臨床研究で活用するとともに,糖尿病の疾病管理での活用を目的とした,治療方法別に症例を抽出し,治療状況をHbA1c等検査結果により比較する糖尿病診療ダッシュボードを開発している. これらを踏まえ,今年度は地域連携で運用されているコホートデータベースシステムへ接続し,より広範な医療機関で収集された医療情報を分析する基盤の開発を行った.当該システムは徳島大学病院を中心に運用されているEHR(Electronic Health Record)と連携し,匿名化した医療情報を収集するシステムである.そのため,ビッグデータを運用するためにKVS(Key-Value Store)型のデータベースであるCassandraを採用している.そのため,従来型のRDB(Relational DataBase)への接続を前提としたBIシステムでは対応できない.そこで,Cassandraから対象データを抽出,一時蓄積する中間データベースをRDBで構築し,そこへBIシステムが接続する構成とした. 構築した基盤を活用し,糖尿病治療薬であるDDP-4阻害薬について,投与症例を抽出,検査結果値及び病名を元に,有害事象や治療効果を評価するダッシュボードを開発した.
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