1.医療計画策定・運用体制の問題構造化 厚生労働省が2013年6月に実施した医療計画の推進に関わる各都道府県へのアンケート調査結果および地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(厚生労働省)資料を用いて医療計画策定・運用体制の問題構造化を行った結果,①医療計画策定担当職員数,②医療提供体制等の現状分析法(地理的分析がない,二次医療圏単位が主)といった行政視点の問題は浮き彫りになったことに加え,患者・住民を策定メンバーにしている自治体の割合が少数であることや住民視点のわかりやすい文章の作成,情報公表の方法など現時点において住民視点に立った医療計画策定・運用体制に問題がみられた。
2.住民視点からみた北海道と東北6県の医療計画の特徴分析 医療計画の考え方や目標・評価について地域住民に対してわかりやすい文章となっているかどうかに着目し,2013年策定の医療計画とテキストマイニングを用いて,①7道県の専門用語の使用頻度上位30件を用いた対応バブル分析による専門用語の使われ方の類似性の検証,②基本分析(1文あたりの平均文字数と専門用語出現回数),③7道県の単語頻度上位100件から医療・病院管理用語辞典新版に記載されている医療計画に関わる専門用語の抽出および専門用語の解説の有無について7道県の比較検証を行った。その結果,山形県と福島県除く5道県において類似性がみられた。1文あたりの平均文字数と専門用語の出現回数が高い自治体は北海道と秋田県であった。専門用語上位5用語をみると,青森県と宮城県では5疾病5事業、山形県ではPDCAサイクルといった専門用語が抽出できた以外は類似した専門用語が抽出された。7道県の使用割合の多い専門用語には解説の記載はなかった。結論として7道県の医療計画の趣旨・評価に関する内容は住民視点の文章でないことが示唆される。
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