研究課題/領域番号 |
24790513
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
馬谷原 光織 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384184)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポートフォリオ / 言語統計 / 質的研究 |
研究概要 |
(1)定量的に特定学生(個人・集団)を抽出するソフトウエア(PTAS-1)開発 PTAS-1は、カテゴリごとの学生・文章と対照学生・文章のそれぞれに対し、形態素解析や構文解析を行い、形態素や共起の組み合わせ、係り受け関係などの出現頻度の言語統計量に有意な差があるものを、学生の文章の特徴情報として抽出する。H24年度はソフトウエア(分類器)の信頼性を確認するために3種の実験をおこなった。1)学生が記述したポートフォリオが言語統計的にどのような特徴があるか。結果:ジグラム解析によるクラスタリング結果は事前ラベリング傾向と同様であった。2)分類器が教師をシミュレーション(教師有り学習)できるか。結果:100名評価結果を2群に分け相互に分類では教師の判定と誤差は2割であった。3)600名ポートフォリオの分類シミュレーション。結果:教師有り学習をした分類器は教師による分類結果と同比率で分類した。よって、H24年度目標のPTAS-1は学生の提出したポートフォリオを分類できた。 (2)学習姿勢や学習成果がポートフォリオに反映される過程を検討する 学生インタビューのために本学倫理委員会への申請を準備中である。従来から授業評価の一環として行われて質問紙の分析結果を基にインタビュー調査をおこなう。これは、学生のポートフォリオ作成過程の内省面に着目し、「なぜそのように考えたのか」といった“開かれた質問“を投げかけることによって、より深く学生の意図を記録することを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は自動分類ソフトPTAS-1の開発により、カテゴリごとの学生・文章と対照学生・文章のそれぞれに対し、形態素解析や構文解析を行い、形態素や共起の組み合わせ、係り受け関係などの出現頻度の言語統計量に有意な差があるものを、学生の文章の特徴情報として抽出することができるようになった。H24年度までに基本機能の作成および検証は順調に進行しており、H25年度以降は、学生インタビューや行動観察記録を用いて、学生のポートフォリオ作成過程の内省面に着目し、「なぜそのように考えたのか」といった質的な研究を進める。この研究では同手法に精通した外部の専門家と協力準備も進んでいる。PTAS-1はさらに分類精度を高め、最終目的である要支援学生の早期検知につながるように追加の開発を進める。
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今後の研究の推進方策 |
学生の学習姿勢・成果がポートフォリオに反映される過程を記録する 質問紙とインタビュー調査の対象者は計50 名を予定している。調査は平成25 年度に4 回の調査を引き続きおこなう。研究期間内を通して得られた質問紙とインタビュ(8 回分)は、学習姿勢と学習内容がどのように表現されるのかに関してグラウンデッドセオリーの分析手法(Strauss &Corbin, 1998)を用いて、グループ化、カテゴリ化を行う。 検出目的に従って定量的に特定学生(個人・集団)を抽出するソフトウエア(PTAS-2)開発 本研究項目ではPTAS-1 に次の機能を追加しPTAS-2を開発する。学生(質的研究結果)・教員(カテゴリ分け)の双方の観点から検討したカテゴリ情報を元に、出現頻度の言語統計量に有意な差があるもの検出する。さらに、あらかじめ指定しておいたカテゴリに文書を自動的に振り分ける技術「自動文書分類機構」(小倉、天野ら2007, 2011)を取り入れ、人間が判断した分類結果をプログラムが自立的にカテゴリ基準に反映させる機能を追加する。最終的にPTAS-2 は与えられた多数のポートフォリオから教員が指定した分類基準(検出目的)に従い「要支援学生の識別・集計」、「ポートフォリオの内容傾向」、「集団の学習志向分布情報」を集計し、教育改善を目的として教員に提供され る。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度はインタビューとその質的分析を中心に進めるため、情報取得にかかわる経費(交通費)および分析のための経費を必要とする、PTSA-2開発受託は既にH24年度PTSA-1で想定以上の成果をあげているため若干の縮減傾向とする。他、成果分析のための統計ソフトおよび経費は消耗品とは前年度同様とする。
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