研究課題
1)検出目的に従って定量的に特定学生(個人・集団)を抽出するPTAS-2の開発PTAS-2開発は学生のポートフォリオの言語統計量を比較する。学生(質的研究結果)・教員(カテゴリ分け)の双方の観点から検討したカテゴリ情報と、既存PTASの統計情報を詳細に比較検討し、検出目的に沿った学生(個人・集団)抽出ができるPTAS-2を開発する。成果1.ポートフォリオ間で言語統計的・有意差を検出できた。2.与えられた条件に一致するポートフォリオを検出できた。3.教師が自覚せずに用いている隠れた評価基準を言語統計値として明示することができた。精度には各授業の特性である、課題種類や専門用語が分類時に大きな影響があることが示唆された。想定外の成果として、PTAS-2「分類器」精度確認の過程で、教師が自覚していない文章表現の好みやキーワード頻度が教師ごとに異なる「評価のクセ」を言語統計値として明示することができた。これは教師らが公正(均一)な評価を支援するための情報として、これまでにない新たな指標となる可能性がある。さらに、この支援情報は、経験豊かな教師が明示・非明示の基準の両方をどのように活用し評価をおこなっているかを明らかにできる可能性があり、教育職経験の少ない新任教員の教育に支援情報が活用できる可能性がある。2)学生の学習姿勢・成果がポートフォリオに反映される過程を分析するインタビューと質問紙の記録は、学習姿勢と学習内容がどのように表現されるのか、グラウンデッドセオリーの分析手法を用いて、グループ化、カテゴリ化を行う。* 昭和大学歯学部医の倫理委員会 課題名: 学部連携教育の学びに関するアンケート分析とポートフォリオ・テキストマイニング分析を用いた研究 承認番号:2013-018
2: おおむね順調に進展している
H25年度は、昨年の成果を踏まえPTSA-1からPTSA-2としてさらに分析精度を高め、最終目的である要支援学生の早期検知につながるように追加の開発を進めた。H25年度にはPTAS-2分類器の精度確認の過程で、教師が自覚していない評価時のクセを言語統計値として検出することができた。H26年度はPTSA-2を活用して、さらに広範囲の分析をおこない、新たに検出可能となった教師が自覚していない評価時の行動を、新任教員の教育に活用できる可能性も踏まえ開発の成果を整理する。H25年度は学生インタビューや行動観察記録を用いて、学生ポートフォリオ作成過程の内章面に着目し、「なぜそのように考えたのか」といった質的な研究を進めた。H26年度はこのデータを分析し、さらに研究対象者を増やして研究を進める。
H26年度の研究の推進方策は、PTAS-2の結果に基づく検証改善サイクルを確立を目標とする。ポートフォリオを活用する授業ごと継続的にPTAS-2の結果を、授業や指導方法を教員にフィードバックし、「検証改善サイクル」(PDCA)を実践する。申請者らは教育方略開発と教員研修を職務とする。そのため、教育研究に見られるその場限りの例示や提案の枠を超えて、教員の活動を補佐することが可能であり、さらにその成果はポートフォリオを通じて再検証をおこなう。
H25年度の言語統計ソフトPTAS-2開発は目標に達する成果を上げており、質的分析(インタビュー、アンケート)結果の充実を待つことで、一層効率的な開発が見込まれるため一時的にシステム開発経費(受託)を抑制した。質的分析は想定以上に豊かに得られており、事前の分類作業を充実させるために謝金等を一部抑制した。システム開発経費(受託)は質的分析結果を待ち、PTAS-2に新たな分析機能を組み込むために必要である。謝金等(人件費)は費用対効果を最大にするため、事前の分類作業を精密に行った後に集中的に活用する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
The Interdisciplinary Journal of Problem-based Learning
巻: 8 ページ: 1-19
10.7771/1541-5015.1388