研究課題/領域番号 |
24790524
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
籔脇 健司 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20347280)
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キーワード | リハビリテーション / 高齢者 / 環境 / 地域連携パス / 作業療法 |
研究概要 |
本研究課題の目的は,回復期リハビリテーション(以下,回復期リハ)を受ける高齢者が,地域連携アプローチによる環境支援を通して満足感の高い在宅生活を送るための包括的環境支援地域連携パス(以下,環境支援パス)を開発し,その効果を検討することである.平成25年度は,環境支援パス暫定版の作成を目的としたデルファイ法による検討を実施するために,原案の作成とWebアンケートシステムの開発を行った. 環境支援パスの原案は,回復期リハ病棟に勤務する主任級の作業療法士と通所介護事業所の所長,それに研究代表者を加えた3名で検討した.原案はYabuwakiらが開発したComprehensive Environmental Questionnaire(以下,CEQ)の構成概念に準拠して検討され,10領域で構成されることが妥当であると判断された.CEQは3因子14項目の2次因子モデルを採用しているが,原案では一部の項目を統合し,安心生活環境4領域,相互交流環境4領域,家族環境2領域となった.ここから,各環境要因の達成目標とそれに対応する26項目のタスクを決定した.各タスクには所要期間を設定したが,回復期リハのみで完結するのが5項目,維持期のみで完結するのが2項目あったものの,19項目は地域連携アプローチが必要なタスクであった. また,作成された環境支援パスの原案を用い,デルファイ法による検討を実施するためのWebアンケートシステムを開発した.システムは,オープンソースのシステムであるLime Survey(有限会社ディアイビィ社製)を本研究課題の方法に基づいて設定された.今後,回復期リハ病院と居宅サービス施設に勤務する実務経験10年以上の医師,看護師,医療ソーシャルワーカー(支援相談員),理学療法士,作業療法士,介護福祉士,介護支援専門員の計35名程度にWebアンケートを実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
環境支援パス暫定版を作成するために,回復期リハ病院と居宅サービス施設に勤務する各専門職をメンバーとしたデルファイ法による検討が終了している予定であった.しかし,平成24年度に在宅高齢者の環境ニーズを明らかにする研究を実施したことと,平成25年度にデルファイ法の実施プロセスを効率化し,懸念される参加者のドロップアウトを防止する目的でWebアンケートシステムの開発を実施したことから,研究の進行が遅延した.
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今後の研究の推進方策 |
現在,回復期リハ病院と居宅サービス施設に勤務する各専門職をメンバーとしたデルファイ法を実施するための環境支援パスの原案が完成し,検討を依頼する実務経験10年以上の医師,看護師,医療ソーシャルワーカー(支援相談員),理学療法士,作業療法士,介護福祉士,介護支援専門員の確保が進んでいる. 今後の研究を推進するために,平成24・25年度には採用しなかった研究補助者を平成26年度には採用するなど,事務作業の効率化を図る.また,デルファイ法による検討の遅延が生じないよう,Webアンケートシステムの運用を専門業者と連携して実施すること,環境支援パス暫定版の試行運用とバリアンス分析をより現実的な規模で実施するなどの方策を考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は,検討会議実施に必要となる旅費や謝礼が予定以下の支出であったことと,研究補助者を採用しなかったことによるものである.しかし,Webアンケートシステムの開発経費を計上したため,結果として多くの次年度使用額は生じなかった. 平成26年度は,本来その年度に予定していた旅費,人件費・謝礼と合わせて,未執行分の旅費や謝礼を支出する.その支出分を補うために,物品費やその他の経費は予定より削減するものとする.
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