研究課題
平成24年度に引き続き、無細胞蛋白質合成系を用いてインターロイキン8(IL-8)の合成を行った。平成25年度はポジトロン標識した[18F]IL-8の合成について検討した。従来の報告に従い[18F]プロリンを合成したところ、放射化学収率が30%で、問題なく[18F]プロリンを合成することができた。この[18F]プロリンを用いてIL-8の合成を行った。30分から120分まで反応時間を振って、合成量について検討したところ、時間依存的に[18F]IL-8が合成できることが明らかとなった。更にこの反応で得られた蛋白質溶液に対してイオン交換カラムを用いた精製を行い、極めて短時間でかつ夾雑物の少ない[18F]IL-8が精製可能であることを確認した。また得られた蛋白質は放射化学純度が91%であり、イメージングを実施するにあたり、十分な放射化学純度の[18F]IL-8が得られることが明らかとなった。次に、この[18F]IL-8を野生型マウスに投与し、PETイメージングを行った。体内動態を観察したところ、尿路系以外への特定の臓器に対する集積は認められなかった。CHO細胞にIL-8受容体を安定発現させた細胞を作製した。この細胞をnudeマウスへ移植したところ、CHO細胞の増殖が認められ、PETイメージングを行うための準備を整えることができた。今後、更にこの研究を発展させ、無細胞蛋白質合成法を用いたPETプローブ開発の基礎技術を確立していきたいと考えている。
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Neuropharmacology
巻: 81 ページ: 188-194
10.1016/j.neuropharm.2014.02.003.