研究課題
本研究の目的は糖尿病性腎症進展過程において新規尿細管障害マーカーが既存マーカーよりも早期に検出されるか否かを明らかにすることである。そのために今年度は以下の検討を行った。前年度から引き続き、2型糖尿病モデルラットである雄性OLETF(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty)ラット、およびそのコントロールである雄性LETO(Otsuka Long-Evans Tokushima)ラットを用いて糖尿病発症前から終末腎の様相を呈する50週齢まで自然観察を行った。飼育期間中は4週間毎に24時間蓄尿による採尿と尾静脈からの採血を行った。OLETFラットは生後22週齢からLETOラットに比べ尿中アルブミン濃度が有意に増加したが、バイオマーカー候補のひとつである尿中Kim-1は尿中アルブミンよりも早い14週齢に有意に上昇した。14週齢における組織障害を検討した結果、尿細管の変性、刷子縁膜の脱落および糸球体硬化がOLETFラットで認められた。さらに尿中Kim-1は50週齢においてもLETOラットに比べ有意に高値であった。2型糖尿病モデルラットを用いた検討により尿中Kim-1は既存マーカーである尿中アルブミンが顕性化する前の組織学的な糖尿病性腎症を検出しうるバイオマーカーであることが明らかになった。
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Diabetes & Vascular Disease Research
巻: in press ページ: in press
10.1177/1479164114531299
Drug Metab Pharmacokinet
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10.2133/dmpk.DMPK-13-RG-060