糖尿病は海馬の機能低下を誘発するが、そのメカニズムについては不明なままである。本研究は、シナプス可塑性の調節因子であるERKに着目し、糖尿病によるスパインの形態異常について検討した。ERK活性の減少は、ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルマウスと高グルコース処置細胞で認められた。高グルコース処置細胞では、インスリンシグナルの障害が認められた。17β-estradiol (E2)およびその誘導体(E2A)は、ERKを活性化させた。以上より、インスリン受容体の機能不全が糖尿病による海馬機能低下に重要な役割を演じていること、E2は糖尿病によるスパイン形態変性にも有効な治療薬となることが示唆された。
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