研究課題/領域番号 |
24790542
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
白須 直人 福岡大学, 医学部, 講師 (70551422)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリー / エクソソーム / 抗体 |
研究概要 |
本研究の目的は、分泌膜小胞であるエキソソームの膜上に腫瘍抗原特異的なヒト抗体を提示させた抗体エキソソーム(AbEx)を薬剤送達の担体として用いた新規な癌治療法の開発である。本年度は、まず腫瘍関連抗原CEAに対するヒト単鎖型抗体遺伝子をエキソソームのマーカータンパク質であるCD63の細胞外ループ領域に挿入した融合遺伝子のクローニングを行い、AbEx発現用コンストラクトを作製した。作製したAbEx発現ベクターをHEK293FT細胞に導入し、培養上清中からAbExの単離を試みた結果、低収量ながらも抗体を提示したエクソソームが得られたことを確認した。単離したAbExを蛍光色素Dioにより染色し、これをCEA陽性MKN-45細胞の培地中に添加して蛍光顕微鏡で検鏡した結果、AbExが細胞内に顆粒状に存在する像が観察され、細胞内への取込みが確認された。AbExのCEA陽性細胞への結合はフローサイトメトリーによっても確認されたが、その結合量は十分ではなく、また、CEA陰性の細胞株に対する非特異的なAbEx蛍光も相当量認められた。これは、エクソソームあたりの抗体提示量が少ない、あるいは抗体融合タンパク質の抗原親和性が低いことが原因であると考えられ、AbEx自体の産生量が少ないことも鑑みると、抗体提示に用いる融合タンパク質のデザインの見直しと併せて、AbEx産生に用いる細胞種の変更を行う必要があるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の目標であるAbExを低収量ながら得ることには成功しているが、AbExを癌治療へ適用するには十分な抗体提示量とさらなる抗原特異性を確保しなければならない。従って現状の抗体提示用の融合タンパク質のデザインを改良する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
より高効率な抗体提示と抗原親和性の増強を達成するため、抗体融合タンパク質のデザインの改良を行う。具体的には単鎖型抗体ではなく完全型抗体を用いることとし、これをエクソソーム膜上に提示するために、本来IgG型である抗CEA抗体を膜結合型のIgD型へと変換させる。IgDは比較的エクソソームに集積しやすいとの報告があるため、効果的な抗原提示と抗体の機能性維持に有効であると考えられる。一方で、エクソソーム表面にアビジンを結合させ、これに対してビオチン化抗体を結合させることで間接的にAbExを作製する方法も試行する予定である。また、エクソソーム産生量が多く、体外での培養も比較的容易な間葉系幹細胞をAbEx産生用の細胞として用いることを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度購入予定機器がメーカーのキャンペーンにより想定よりも安価に導入できたため繰越金が生じたが、平成25年度に抗体とIgD遺伝子融合タンパク質を発現させるにあたり、人工遺伝子の受託合成を依頼するため研究費に過不足は生じず、その他は申請書記載の使用計画に変更はない。
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