本研究は、分泌膜小胞であるエキソソームに腫瘍関連抗原特異的なヒト抗体を提示させた抗体エキソソーム(AbEx)を薬剤送達に用いる癌治療法の開発を目的とする。癌胎児性抗原(CEA)に対する単鎖型抗体遺伝子をエキソソームタンパク質であるCD63と融合した遺伝子を作製し、実際にAbExの単離に成功した。このAbExは、CEA陽性癌細胞に結合し、細胞内へと取り込まれることが確認された。しかしながら、標的細胞への結合の親和性や特異性は十分とはいえなかった。そこで、AbExの分子デザインの大幅な見直しを行った。現在、安定的な収量と提示量の高いAbExが得られる系の構築を鋭意実施している。
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