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2012 年度 実施状況報告書

TSPO-PETによる肝疾患画像診断法の開発及び発生機序の解明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24790543
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人放射線医学総合研究所

研究代表者

謝 琳  独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 博士研究員 (30623558)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード肝疾患 / 脂肪肝 / 肝癌 / PET / TSPO / 画像診断法
研究概要

本研究はTranslocator protein (18kDa)(TSPO、末梢性ベンゾジアゼピン受容体ともいう)の特異的なプローブを用い、PETイメージングにより代表的な肝疾患である脂肪肝、肝癌を早期、定量かつ非侵襲的に画像診断法の確立と発生機序の解明を目指す。
脂肪肝は罹患する患者数が最多の肝疾患であり、病気発生の原因が不明で、簡便な診断法がなく、確実な治療法もない。申請者らは脂肪肝にミトコンドリア障害が起きているから、ミトコンドリア膜に特異的に存在するTSPOタンパク質に着目し、TSPOに特異的なPETプローブ[18F]FEDAC及び脂肪肝動物モデルを用い、脂肪肝の早期診断、進行度の判定及び分類ができるPET診断法を世界で初めて開発した。
今年度は申請者がC57BL/6マウスにメチオニン・コリン欠損食(MCD食)を2週間、4週間、8週間投与により組織学的にヒトNAFLDと類似した進行性のNAFLDモデルを樹立した。このモデルに対し、[18F]FEDAC-PETを用い肝臓におけるTSPO発現量の変化を定量し、NAFLD進行との相関性を調べた。その結果、正常肝臓におけるTSPOの発現量が低いのに対して、MCD食マウスにおいて、単純性脂肪肝(2週間)から脂肪性肝炎(4週間)を経て脂肪性肝線維化(8週間)の進行に伴い、TSPOの発現量が経時的に増加した。また、NAFLDの進行に伴い、肝臓における[18F]FEDACの放射能集積は経時的に増加し、その集積量が肝臓病変の程度を反映し、同じ肝臓のCT像及び病理染色によっても確認された。これらの研究成果よって、TSPOは脂肪肝の進行度を客観的に反映できるバイオマーカーであることが証明され、脂肪肝の早期診断や進行度の判定及び分類に対し、[18F]FEDAC-PETは高感度かつ特異性をもつ有用な診断ツールであることが証明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

[18F]FEDAC-PETを用いることにより、未だに確実で非侵襲的な診断方法がない脂肪肝を世界で初めて画像化することに成功し、臨床への応用が注目されている(朝日新聞、読売新聞に2012年9月5日掲載、世界分子イメージング学会2012年会受賞)。

今後の研究の推進方策

[18F]FEDAC-PETは高感度かつ特異性をもつ有用な診断ツールであることが証明され、今後臨床への応用が期待される。また、脂肪肝などの肝疾患だけでなく、ミトコンドリア障害に関わる他の生活習慣病のに対する新たな診断法と治療法の開発研究につながる。

次年度の研究費の使用計画

次年度は①TSPO-PETイメージングにおける脂肪肝、肝癌疾患診断法の開発とその診断方法が非侵襲的な診断ツールとしての感度、精度及び安全性を調べる。②肝疾患の病態発生及び進行においてTSPOが果たす役割と作用機序を解明する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Translocator protein (18 kda), a potential molecular imaging biomarker for non-invasively distinguishing non-alcoholic fatty liver disease2012

    • 著者名/発表者名
      Xie L, Yui J, Hatori A, Yamasaki T, Kumata K, Wakizaka H, Yoshida Y, Fujinaga M, Kawamura K, Zhang MR
    • 雑誌名

      Journal of hepatology

      巻: 57 ページ: 1076-1082

    • DOI

      10.1016/j.jhep.2012.07.002.

    • 査読あり
  • [学会発表] [18F]FEDAC-PETによる非アルコール性脂肪肝疾患画像診断法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      謝琳、由井譲二、羽鳥晶子、山崎友照、熊田勝志、脇坂秀克、張明栄
    • 学会等名
      第12回放射性医薬品・画像診断薬研究会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20121215-20121215
  • [学会発表] TSPOを標的とした肝細胞癌の画像診断法の開発に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      謝 琳、由井 譲二、羽鳥 晶子、山崎 友照、熊田 勝志、脇坂 秀克、張 明栄
    • 学会等名
      第52 回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20121011-20121013
  • [学会発表] Translocator Protein (18 kDa) is a Potential Biomarker for Molecular Imaging of Non-alcoholic Fatty Liver Disease2012

    • 著者名/発表者名
      Lin Xie, Joji Yui, Akiko Hatori, Tomoteru Yamasaki, Katsushi Kumata, Hidekatsu Wakizaka, Masayuki Fujinaga, Ming-Rong Zhang
    • 学会等名
      世界分子イメージング学会2012年会 (2012WMIC)
    • 発表場所
      アイルランド、ダブリン
    • 年月日
      20120905-20120908
  • [備考] 脂肪肝の発症及び進行をPETでモニタリングすることに成功

    • URL

      http://www.nirs.go.jp/information/press/2012/09_04.shtml

  • [備考] 2012 WMIC Student Travel Stipend Award 受賞

    • URL

      http://www.nirs.go.jp/research/division/mic/newsrelease/120911-2/index.html

  • [備考] 欧州肝臓学会の雑誌「Journal of Hepatology」の表紙を飾りました

    • URL

      http://www.nirs.go.jp/research/division/mic/newsrelease/121206/index.html

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公開日: 2014-07-24  

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