研究課題
若手研究(B)
精神科医療機関に通院するアルコール依存症をもつ患者を対象に、セロクラールを前期3ヶ月投与→後期3カ月対照薬(ビタミンC:商品名・シナールを用いる)投与(前期投与群)、前期3カ月対照薬投与→後期3カ月投与(後期投与群)する2つのグループを作り、断酒・断薬状況/ドロップアウト/再使用リスク等を評定した。2012年9月まで研究参加者のリクルートを行い、2013年3月末に調査を終了した。現在、リクルートした研究参加者は77名であり、6カ月間にわたる調査が完了している参加者は44名である。現時点で解析可能な21名分のデータを用いて、イフェンプロジルの断酒・断薬状況/ドロップアウト/再使用リスクに対する効果を検討した。再使用リスクを測定するアルコール再飲酒リスク評価尺度(Alcohol Relapse Risk Scale:ARRS)の下位尺度のうち「刺激脆弱性」において群(前期投与群・後期投与群)と時間の交互作用が認められた(p = 0.002)。前期投与群、後期投与群ともにイフェンプロジルを処方されると飲酒に対する刺激脆弱性が軽減されていた。この結果は調査完了した44名のデータを用いて解析を進めていく意義が大いにあることを示唆し、それによってアルコール依存における渇望感抑制や再発防止に直接効果のある候補治療薬を提供できる可能性がもたらされ、その結果、依存症治療を大きく推し進めると考えられる。
1: 当初の計画以上に進展している
リクルートした対象者人数は77名で、最終的に調査完了した人数は44名であるが、十分に解析可能な人数である。また、当初予定では、2013年8月までにデータ収集・入力完了を目指していたが、2013年3月末にひととおりのデータ収集は完了しており、4月末にはデータ入力も完了しているため、すでにデータ解析が可能な状況である。
データを精査し、一部のデータが不足しているなど必要に応じて調査先の医療機関にて改めてデータを収集する。5月~8月にデータを統計解析にかける。その結果を学会(日本神経精神薬理学会、The International College of Neuropsychopharmacology、The College on Problems of Drug Dependence等)にて発表する予定である。また、学会発表と並行して、学術雑誌に投稿する論文執筆を進める予定である。
次年度研究費は、国際学会1回分(500,000円)、国内学会2回分(100,000円)、英文校正費(100,000円)に用いられる予定である。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Journal of affective disorders
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http://researchmap.jp/nagisa_sugaya/