研究課題
Stenotrophomonas maltophiliaは多くの抗菌薬に自然耐性を示すが、近年ペンタペプチド反復タンパク質をコードする新規のキノロン耐性遺伝子(Smqnr)が同定され、Smqnrのキノロン系薬に対する潜在的耐性への関連性が報告されている。本邦におけるS. maltophiliaの薬剤感受性、Smqnrおよびプラスミド性キノロン耐性遺伝子(PMQR)について調査した。国内(北海道、東京都、大阪府、福岡県)の医療機関から収集したS. maltophilia臨床分離株を解析した。平成25年度は引き続き薬剤感受性試験を行うとともに、適切な条件を決定した後にPCR法を行い、耐性遺伝子を検出した。薬剤感受性試験ではClinical and Laboratory Standards Instituteに準じて、各種抗菌薬の最小発育阻止濃度を測定した。ceftazidime, levofloxacin, trimethoprim-sulfamethoxazole, chloramphenicol, minocyclineの耐性率はそれぞれ、67%, 6%, 18%, 9%, 0%であった。Smqnrコンセンサスプライマーを用いてPCR法行い、Smqnr遺伝子を検出した。得られたPCR増幅産物はシークエンス解析を行い、Smqnr遺伝子の型別を決定した。S. maltophilia臨床分離株の約6割においてSmqnrが検出され、型別ではSmqnr6が最も多かった。本研究より11種類の新規Smqnr variantsが検出された。また、PMQR遺伝子を検出するため、マルチプレックスPCR法を行った。qnrおよびqepAは検出されなかったが、aac(6′)-Ib-crを5%に認めた。パルスフィールド電気泳動法(PFGE)では、制限酵素XbaIを用いて耐性株の相同性を解析し、地域での流行株の拡散状況を検討した。Smqnrを保有するS. maltophiliaは21種類のPFGEタイプに分類され、多様なクローンを認めた。S. maltophiliaは腸内細菌へのキノロン耐性遺伝子の伝播における潜在的なリザーバーである可能性が示唆されており、本邦のS. maltophilia臨床分離株においてSmqnrが高頻度に検出されたことから、今後の動向に注意する必要がある。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
Am J Respir Crit Care Med
巻: 187 ページ: 1278-1279
10.1164/rccm.201212-2150LE.
Emerg Infect Dis
巻: 19 ページ: 799-801
10.3201/eid1905.121137
PLoS One
巻: 8 ページ: e64359
10.1371/journal.pone.0064359