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2013 年度 実施状況報告書

ヘムオキシゲナーゼ-1による血栓制御機構が妊娠予後改善にもたらす効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24790549
研究機関金沢大学

研究代表者

關谷 暁子  金沢大学, 保健学系, 助教 (10452111)

キーワードヘムオキシゲナーゼ-1 / 血液凝固・線溶 / 不育症
研究概要

不育症とは、妊娠はしても流産、子宮内胎児死亡、新生児死亡などを繰り返して生児が得られない場合をさす。本研究では、妊娠維持に重要な役割を果たす因子として注目されているヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)が、これまで報告されていた免疫調節作用、抗酸化作用に加えて抗血栓効果を胎盤にもたらし、妊娠予後を改善する可能性について検討する。平成24年度はトロフォブラストのモデルであるBeWo細胞における凝固・線溶系関連因子発現の動向がHO-1発現による調節を受けるかどうかについて検討した。平成25年度は胎盤のもうひとつの主要な構成成分である血管内皮細胞(HUVEC)を用いて検討を行った。まず、HUVECを通常どおり培養した場合と、TNF-αによる炎症性刺激を加えた場合における、組織因子(TF)およびプラスミノーゲンアクチベーターインヒビタータイプ1(PAI-1)の発現を検討した。次に、tricarbonyldichroloruthenium (II) dimer (CORM-2)をあらかじめ培地に添加し、HO-1がヘムを分解した際の代謝産物である一酸化炭素(CO)を発生させた後、TNF-αを添加した場合におけるTFおよびPAI-1の発現を検討した。その結果、HUVECにTNF-αを添加するとTFおよびPAI-1の発現が著しく増加するが、あらかじめCOを発生させておくと、TFおよびPAI-1の発現が正常レベルに是正された。さらに、TNF-αの存在下ではp38MAPキナーゼおよびERK1/2、JNKのリン酸化およびNF-κBの核内移行が促進されるが、あらかじめCOを発生させておくと、これらのシグナル伝達経路の活性化が正常レベルに是正された。以上の結果より、炎症性刺激下におけるMAPキナーゼおよびNF-κBシグナル伝達経路の活性化をCOが抑制し、TFおよびPAI-1の発現増加を抑制すると考えられた。このことは不育症や妊娠高血圧症候群でしばしば観察される過凝固状態に対してHO-1およびCOが有効な治療薬となる可能性を示すものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

トロフォブラストおよび血管内細胞それぞれにおいて、炎症性刺激下における血液凝固関連因子の発現プロファイルおよびHO-1による影響を明らかにすることができた。また、血管内皮細胞ではHO-1によるTFおよびPAI-1の発現調節の機序についても明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

おおむね変更はない。
引き続き、HO-1により発現調節を受ける血液凝固関連因子について検討するとともに、HO-1がトロフォブラスト表面に存在するリン脂質を介した血液凝固進展に影響を与えるかどうかについて検討する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Antithrombin deficiency in three Japanese families: one novel and two reported point mutations in the antithrombin gene.2013

    • 著者名/発表者名
      Maruyama K, Morishita E, Karato M, Kadono T, Sekiya A, Goto Y, Sato T, Nomoto H, Omi W, Tsuzura S, Imai H, Asakura H, Ohtake S, Nakao S.
    • 雑誌名

      Thromb Res.

      巻: 132 ページ: e118-123

    • DOI

      10.1016/j.thromres.2013.06.001

    • 査読あり
  • [学会発表] トロンボモジュリン(TM)遺伝子多型によるHLA一致同種骨髄移植後の転帰2013

    • 著者名/発表者名
      野本明華,高見昭良,關谷暁子,大竹茂樹,森下英理子
    • 学会等名
      第60回日本臨床検査医学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      20131031-20131103
  • [学会発表] 先天性プロトロンビン欠乏症における遺伝子解析および変異プロトロンビン蛋白の機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤那美,森下英理子,關谷暁子,後藤友紀恵,野本明華,朝倉英策,中尾眞二,大竹茂樹
    • 学会等名
      第14回日本検査血液学会学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      20130727-20130728
  • [学会発表] 健常妊婦における血液凝固関連マーカーの経時的変動2013

    • 著者名/発表者名
      野本明華,森下英理子,關谷暁子,林朋恵,門平靖子,柴山正美,丸山慶子,朝倉英策,和田隆志,大竹茂樹
    • 学会等名
      第14回日本検査血液学会学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      20130727-20130728
  • [学会発表] ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)遺伝子多型によるHLA一致骨髄移植の転帰予測2013

    • 著者名/発表者名
      後藤友紀恵,森下英理子,高見昭良,關谷暁子,森島泰雄,鬼塚真仁,柏瀬貢一,中尾眞二,大竹茂樹
    • 学会等名
      第14回日本検査血液学会学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      20130727-20130728
  • [学会発表] 妊婦における血液凝固線溶マーカーの経時的変動2013

    • 著者名/発表者名
      林朋恵,関谷暁子,土肥聡,門平靖子,森下英理子,朝倉英策,中尾眞二
    • 学会等名
      第35回日本血栓止血学会学術集会
    • 発表場所
      山形国際ホテル(山形県)
    • 年月日
      20130530-20130601
  • [学会発表] 正常妊娠における血中プロテインS値の経時的推移

    • 著者名/発表者名
      關谷暁子,津田友秀,金秀日,野本明華,後藤友紀恵,佐藤那美,谷口文苗,山口大介,内海真佑美,高田麻央,大竹茂樹,森下英理子
    • 学会等名
      第38回北陸臨床病理集談会
    • 発表場所
      石川県立中央病院(石川県)
  • [学会発表] 当研究室におけるプロテインC遺伝子解析の総括

    • 著者名/発表者名
      野本明華,關谷暁子,後藤友紀恵,佐藤那美,谷口文苗,山口大介,内海真佑美,高田麻央,大竹茂樹,森下英理子
    • 学会等名
      第38回北陸臨床病理集談会
    • 発表場所
      石川県立中央病院(石川県)
  • [学会発表] 当研究室におけるプロテインS遺伝子解析の総括

    • 著者名/発表者名
      山口大介,關谷暁子,後藤友紀恵,佐藤那美,野本明華,谷口文苗,高田麻央,内海真佑美,大竹茂樹,森下英理子
    • 学会等名
      第38回北陸臨床病理集談会
    • 発表場所
      石川県立中央病院(石川県)
  • [学会発表] 新規変異(Ala525Val)を有する先天性プロテインS欠損症ヘテロ接合体の一症例について

    • 著者名/発表者名
      谷口文苗,關谷暁子,後藤友紀恵,佐藤那美,野本明華,山口大介,高田麻央,内海真佑美,北山次郎,大竹茂樹,森下英理子
    • 学会等名
      第38回北陸臨床病理集談会
    • 発表場所
      石川県立中央病院(石川県)

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公開日: 2015-05-28  

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