研究課題/領域番号 |
24790553
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 妃映 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (70362960)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL) / Epigenetics / 異常DNAメチル化 / HTLV-1 / SHP1 |
研究概要 |
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)は、非常に難治性で予後不良な疾患であり、有効な地用法や検査法が確立されていない。その本態の解明と治療抵抗性の克服は、治療成果の飛躍的な改善につながると期待されている。 そこで今回、ATLLにおける癌性幹細胞に注目した。癌性幹細胞は、自己複製能と多分化能をもち、腫瘍細胞集団中にごく少数存在し、癌の再発・転移や治療抵抗性に大きく関与していると考えられている。しかし、ATLLにおいて、癌性幹細胞に関する報告はほとんど無い。 平成24年度は、「平成22年度日本学術振興会事業 頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム(JSPS)」(事業名 がん幹細胞モデルの作製とそれを用いたがん幹細胞標的治療法の開発事業(岡山大学))による派遣研究者に採用されたため、スペイン(ジローナ大学)と中国(天津医科大学)へ留学する貴重な機会を得た。いずれの研究機関でも、乳がんを対象として、乳がんに特異的に発現している受容体やタンパク質、糖代謝、細胞接着異常の解析や癌性幹細胞に関する研究を行った。さらに、研究を発展させ、癌細胞に特異的に作用する薬剤の開発にも関わった。留学を通して、様々な悪性腫瘍に存在する癌性幹細胞の解析に応用できる研究に携わることができ、特殊な解析技術・細胞培養技術や制がん効果の評価方法を学ぶことができた。 また、今後は共同研究の話を進めていけるよう、良好な関係を築きたいと考えている。帰国後は、今回得たことを生かしながら、ATLLにおける癌性幹細胞存在の確認と癌性幹細胞の特異的マーカーの検討を行なうために、必要な細胞の培養や試薬の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、「平成22年度日本学術振興会事業 頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム(JSPS)」(事業名 がん幹細胞モデルの作製とそれを用いたがん幹細胞標的治療法の開発事業(岡山大学))による派遣研究者に採用され、スペイン(ジローナ大学:派遣期間 平成24年5月8日~平成24年8月6日)と中国(天津医科大学:派遣期間 平成25年1月27日~平成25年3月18日)へ留学していたため、予定よりも研究が遅れている状態である。しかし、今後はこの留学で得た技術と知識を生かし、期限内に目標を達成できるよう、努めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
予定より遅れてしまった分を取り戻すべく、必要な細胞の培養や試薬の準備ができ次第、直ぐにATLLにおける癌性幹細胞存在の確認と癌性幹細胞の特異的マーカーの検討を行なう。まず、性質や由来が異なるATLL細胞株数種において、キット(ALDEFRLUOR:Stem Cell)を用いて癌性幹細胞を同定・採取する。その後、フローサイトメトリー(FACS Aria)を用いて、癌性幹細胞マーカー数種、T細胞フェノタイプマーカーの発現レベルと細胞数解析を行なう。 同時に、次に行う免疫染色(酵素抗体法、2重蛍光染色法)に使用する標本の準備やコントロールを用いて共焦点レーザー顕微鏡の条件設定や操作法の確認も行い、スムーズに実験が進行するようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外留学し、研究を一時中断することとなったため、残金1,105,897円が生じた。 今後は、癌性幹細胞の詳細な解析と癌性幹細胞/腫瘍細胞/正常末梢血単核球の性質を比較していくため、数種のATLL培養細胞の維持に必要な培養液や血清に加えてIL2等の試薬やフラスコ等の消耗品を購入する。癌性幹細胞同定に必要なキット、フローサイトメトリーや免疫染色では、様々な種類の抗体と関連試薬を購入する。また、研究の発展に必要な情報を収集し、これまでの成果を発表することを目的として、学会(日本病理学会、日本癌学会、American Association for Cancer Research's Annual Meeting)に参加するため、調査・研究旅費を申請する。
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