研究課題/領域番号 |
24790554
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柳原 正志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40379954)
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キーワード | 猫ひっかき病 / Bartonella henselae / BepA |
研究概要 |
猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)原因菌Bartonella henselaeのBepAはVirB IV型分泌装置のエフェクタータンパクの1つで、抗アポトーシス活性をもち、本菌の細胞内寄生に関与することが報告されている。これまでに、我々は本邦で分離されたB. henselaeのbepA遺伝子解析により、標準菌株(ATCC49882株; bepA-1型)と約8.6%のアミノ酸配列の異なるbepA-2型を同定した。本年度は各subtypeのGST-BepA融合タンパク質を作製し、CSD患者血清ならびに健常人血清との反応性についてWestern blot法にて検討した。本研究の対象として、リンパ節や膿などの遺伝子解析により感染菌株のBepA subtypeが同定済みの19例のCSD患者血清と健常人血清4例を用いた。CSD患者19例中13例(68.4%)でBepAとの反応を認め、このうち、BepA-1型のみと反応したものが7例、BepA-1型とBepA-2型とともに反応したものが6例であった。一方、健常人血清4例中2例でBepAとの交差反応を認めたため、健常人血清を追加して解析したところ、健常人血清計16例中9例(56.3%)でBepAとの交差反応を認めた。このうち、BepA-1型のみと交差反応したものが2例、BepA-1型とBepA-2型とともに交差反応したものが7例であった。以上の結果から、BepAは健常人血清と交差反応することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は抗原となるGST-BepA融合タンパク質の精製法を確立し、各BepAサブタイプとCSD患者および健常人血清との反応性をWestern blot法にて明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はこれまでに作製した抗原を用いてELISA法を確立し、その臨床的有用性を検討する計画である。また、VirB5およびBepAを断片化した抗原を作製して各サブタイプを特異的に認識する配列多型部位をWestern blot法で解析し、血清型別解析が可能か検討する。
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