研究概要 |
高度肥満症患者(BMI≧35+肥満に起因する健康障害)に対して腹腔鏡下減量手術を施行し、良好な成績を得ている。腹腔鏡下減量手術を安全に実施するためには、術前の減量と肝容積の減少が重要である.また、術後の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の改善を肝容積と肝実質硬度(線維化)の点から定量的に評価することは、今後の肥満症に対する内科的そして外科的治療戦略に重要と考えられる。本研究では、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後の減量による肝容積の変化を腹部CTで経時的に測定し、NAFLDの改善を、超音波音響放射圧を用いた肝硬度と肝実質の定量的評価と肝線維化マーカーで検討した。 2014年3月までに35例に同手術を施行した。術後は良好な体重減少が得られており、術前平均BMI(kg/m2)45が術後1年では30へと低下している。FD比は術後に上昇(術前 0.032/術後6か月0.189, p=0.0002)。肝容積(術前/術後6か月)は全体(2,276/1,741ml, p=0.008)、右葉(1,482/1,156ml, p=0.017)、左葉(794/576ml, p=0.007)で、術後6か月で健常人レベルに低下した。肝繊維化マーカー(術前/術後6か月)はヒアルロン酸で(26/21ng/ml, p=0.563) と減少傾向を示すのみであったが,IV型コラーゲン(4.4/3.9ng/m, p=0.047)では有意な減少を認めた。術中肝生検では単純性脂肪肝23例、非アルコール性脂肪性肝炎10例に認めたが、術後にNASスコアは改善した。
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