研究課題/領域番号 |
24790569
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
江口 裕伸 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60351798)
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キーワード | 糖尿病 |
研究概要 |
インターロイキン18(IL-18)は炎症性サイトカインであるが、感染症だけでなく糖尿病でもその増加が認められ、糖尿病性腎症などの合併症の発症などに関わっていると考えられる。一方で、一酸化窒素(NO)は糖尿病のインスリン抵抗性を引き起こすと考えられている。本研究の目的は、NOとIL-18との関連を解明し、糖尿病との関連や新たな糖尿病疾患マーカーとしての有用性を検討するものである。 平成24年度は、IL-18をリコンビナントタンパク質として大腸菌から精製する方法を確立し、NOと反応させ、その影響をウエスタンブロッティング法やフローサイトメトリー法にて解析した結果、IL-18はニトロ化を受けることを明らかとし、さらに変異を導入したIL-18の解析から、ニトロ化を受けやすいアミノ酸を同定することができた。また、NOによりニトロ化されたIL-18は、重要な機能であるインターフェロンγの産生誘導活性などの作用の変化が認められた。また、NOはIL-18の直接的な修飾だけでなくIL-18の発現にも関与している可能性を示唆するデータが得られている。 平成25年度は、ニトロ化されやすいアミノ酸を含むIL-18ペプチドを合成し、ウサギに免疫して抗体を作成した。得られた抗体は若干特異性が低く、現在も作成中である。また、前年度得られた解析結果をもとに肥満糖尿病マウスを用いたニトロ化IL-18の解析で、糖尿病との関与を示唆するデータを得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の最終的な目的は糖尿病におけるIL-18の役割を解明し、臨床検査項目としての有用性を評価することにある。そのために本研究では、①糖尿病におけるIL-18の機能評価 ②活性酸素種によるIL-18構造変化の化学的解析 ③ニトロ化IL-18抗体の作成 ④ニトロ化IL-18抗体を用いたELISAなどの検出系の確立 ⑤糖尿病モデルマウス及び糖尿病患者の血清を用いた検討を行いたい。 平成24年度および25年度は上記目的のうち、①糖尿病におけるIL-18の機能評価 ②活性酸素種によるIL-18構造変化の化学的解析については当初の計画通りにほぼ完了している。③④は現在進行中であり、当初の計画通り検討していく予定である。⑤糖尿病モデルマウスの解析結果もほぼ計画どうりに進行しており、抗体が作成でき次第、詳細な解析を行い、結果を論文としてまとめる予定である。 以上のことより、研究はほぼ予定通りに進行しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、ニトロ化されたIL-18に反応する抗体を作成し、ELISAなどの検出系を確立することである。すでに標的とする部位の同定および抗原部位としての有用性検索は終了しており、作成を行っている状況である。抗体ができ次第、ELISAおよびウエスタンブロッティングによるニトロ化IL-18の検出系を構築する検討に進む予定である。 この抗体作成実験に並行して、糖尿病マウスを用いたIL-18の役割解析を引き続いて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、抗体作成用のペプチドの合成を1種類のみしか行っておらず、また抗体作成も1回しか行っていないため。 今年度は抗原ペプチドを複数種類作成予定であり、ウサギでの抗体作成が成功した場合にはモノクローナル抗体の作成に取り掛かり、その費用として用いる予定である。
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