インターロイキン18(IL-18)は炎症性サイトカインであるが、感染症だけでなく糖尿病でもその増加が認められ、糖尿病性腎症などの合併症の発症などに関わっていると考えられる。本研究の目的は、糖尿病のインスリン抵抗性を引き起こすと考えられている一酸化窒素(NO)とIL-18との関連を解明し、糖尿病との関連性や新たな糖尿病疾患マーカーとしての有用性を検討するものである。 平成24年度の計画では、IL-18をリコンビナントタンパク質として大腸菌から精製する方法を確立し、NOのIL-18に及ぼす影響を主に解析した。in vitroの系においてNOと反応させ、その影響をウエスタンブロッティング法やフローサイトメトリー法にて解析した結果、IL-18はニトロ化を受けることを明らかとした。次にニトロ化される部位の同定を行った。新たに変異を導入したIL-18を5種類作成し、同様に大腸菌から精製して実験に用いた。その結果から特にニトロ化を受けやすいアミノ酸を同定することができた。さらにNOによりニトロ化されたIL-18の生物学的機能の変化についてマウスプライマリー細胞や細胞株を用いた検討を行ったところ、IL-18のもつ重要な機能であるインターフェロンγの産生誘導活性などにおいて、その作用の変化が認められた。 平成25年度は、ニトロ化される部位をペプチドとして合成し、ウサギに免疫して抗体を得た。いくつかIL-18を認識する抗体が得られたが、特異性が低く、実験には用いることができなかった。また、前年度の解析結果をもとに肥満糖尿病マウスを用いてニトロ化IL-18と考えられるタンパク質を得た。 平成26年度は糖尿病モデルマウスを用いてニトロ化IL-18の影響を検討したところ、糖尿病性腎症に関わるRAGEの発現増加が認められた。また、このマウスにおいてはニトロ化IL-18と考えられるタンパク質が腎臓に蓄積していることが認められた。
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