今年度は以下のことを明らかにした。(1)Interferon-gamma(IFN-g)の作用細胞:昨年度の研究によってT細胞由来動的アロディニア分子のひとつとしてIFN-gを見出した。今年度はIFN-g受容体の発現細胞に関する検討を行い,IFN-g受容体はミクログリア,アストロサイト,T細胞には発現せず,HSV感染側の脊髄後角ニューロンで著名に発現増加することを明らかにした。したがって,IFN-gは脊髄後角ニューロンに作用することで動的アロディニアを生じると考えられる。(2)IFNg以外のT細胞由来動的アロディニア分子についての検討:Interleukin-18(IL-18)とCCL1ケモカインに関する検討を行った。HSV感染側の脊髄でIL-18 mRNA発現が有意に増加し,IL-18タンパク発現はHSV感染側ミクログリアで著名に発現誘導された。IL-18受容体は健常脊髄には発現していないがHSV感染側に発現が認められ,その発現細胞は浸潤したT細胞であったことから,IL-18がミクログリア-T細胞間のシグナル伝達分子として働く可能性が示唆された。CCL1ケモカインに関しては,CCL1ケモカインとその受容体であるCCR8のmRNA発現がHSV感染側の脊髄で著名に増加することを明らかにしたが,発現細胞を同定することはできなかった。
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