研究課題/領域番号 |
24790580
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
南雲 康行 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00459661)
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キーワード | 脳・神経 / 神経科学 / 体性感覚視床 / 神経損傷 / GABA / 内側毛帯線維 / 神経回路再改編 |
研究概要 |
H24年度において、視床VPM細胞におけるシナプス外GABA電流 (tonic GABA電流) は、眼窩下神経の切断により術後早期から増強する事を明らかにした。H25 年度においては、眼窩下神経切断による内側毛帯線維の再改編現象に対する視床 VPM 核細胞のtonic GABA電流の影響について解析した。 神経切断下では、VPM細胞上のtonic GABA電流の増強が内側毛帯線維の再改編に先立って生じていることから、シナプス外GABA-A受容体作動薬を1週間持続的に視床内へ処置したところ、受容体作動薬の処置によりVPM細胞へ新規内側毛体線維が動員されることを明らかにした。また、シナプス外GABA-A受容体のalpha4サブユニットの遺伝子座に、loxP配列を組み込んだ遺伝子改編マウスとCre-GFP発現レンチウイルスベクターを用いて、VPM細胞上のシナプス外GABA-A受容体を時期特異的にノックダウンさせ、眼窩下神経切断による内側毛帯線維の再改編への影響を検討した。その結果、現在解析の途中ではあるものの、眼窩下神経の切断前にシナプス外GABA-A受容体のノックダウンを行うと、神経切断による内側毛帯線維の再改編現象が一部抑制される可能性を見出した。 以上、本研究より、眼窩神経切断下のVPM核では、tonic GABA電流の増加が興奮性内側毛帯線維の再改編に先立って誘導され、この電流の増強が、内側毛帯線維の再改編現象の引き金になる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度では、浸透圧ポンプを用いた視床への受容体作動薬持続処置やレンチウイルスベクターと遺伝子改編マウスによるCre-loxPシステムを用いた受容体ノックダウン法で当該研究を進めた。レンチウイルスベクターを用いた実験がまだ進行中の段階ではあるものの、これらによって、眼窩下神経切断による求心性内側毛帯線維の再改編現象とVPM細胞におけるtonic GABA電流の増強との関係性を示唆出来た。 申請段階で予定していたin vivo unit recordingでの眼窩下神経切断による神経活動の変化の記録については、ウイルスベクターによる解析を研究計画の前倒しで進めたため、最終年度(H26年度)にとりまとめて行きたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は当該研究の最終年度になるため、上述してきた進行途中のウイルスベクターの解析とin vivo unit recordingによる神経切断後の神経活動変化の記録を完遂させる。また、現在これらの研究データを投稿論文として原稿化しているため、研究の進展にあわせて論文を編集し投稿する予定である。
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