研究課題
若手研究(B)
C57BL/6j ならびにBALB/c マウスにコミュニケーションボックスを用いて5日間ストレス負荷(2mA, 15sec間隔、2hr)したところBALB/cマウスでは下痢の発症が観察された。しかし、C57BL/6jマウスはコミュニケーションボックスによるストレス負荷に対して抵抗性を示した。そこで、条件を(1mA, 15sec間隔、2hr)変更しBALB/cマウスを用い、mentalおよびphysical stress(MS およびPS)を亜急性(5日間)および慢性的(12日間)に負荷させたところ、MS負荷マウスでは体重の変化が認められなかったが、PS負荷群では有意な体重減少を認めた。また、MS および PS負荷群において正常動物と比べ有意な下痢の発症が認められた。さらに、結腸の proinflammatory cytokine である TNF-alpha、IL-1beta、IL-6 およびTh1 type cytokine であるIFNgamma の遺伝子発現はMSならびにPS群において亜急性および慢性ストレス負荷により有意に減少することが明らかとなった。さらに、Th2 type cytokine である IL-4 は亜急性 mental stress のみでの発現上昇が観察された。Th17 type cytokine である IL-17a は亜急性ならびに慢性ストレス負荷においてMSならびにPS群において有意に亢進した。腸管炎症ならびに痛覚過敏に関与していることが知られている TRAP1 ならびに TRPV1 の遺伝子発現変化を解析したところ、TRPA1 および TRPV1 は亜急性 MS負荷では有意に亢進され、慢性PS負荷においては有意に亢進した。異常のようにストレス負荷種ならびに期間によって、様々な結腸の免疫的な異常を引き起こされることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
ストレス負荷時結腸における免疫状態を明らかにできたことより、おおむね順調に進展していると感じている。
今後はマウスストレス負荷時の内臓痛覚過敏の変化を明らかにし、その際の神経免疫系サイトカイン・ケモカインのエピジェネティク解析および転写因子活性変化の検討を行う。
IBSモデルマウスの消化管および脊髄後角における神経免疫系サイトカイン・ケモカインのエピジェネティク解析および転写因子活性変化の検討:発現変化が認められたサイトカイン・ケモカインのプロモーター領域におけるヒストン修飾の有無をクロマチン免疫沈降法(アセチル化:AcH3, リジントリメチル化:H3K4me3, H3K9me3, H3k27me3等)により明らかにし、また、ヒストン修飾酵素の発現変動も測定し、同時にプロモーター領域に結合する転写因子の結合活性を測定し、明らかにするために研究費を使用する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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http://polaris.hoshi.ac.jp/kyoshitsu/yakuri/top.html