研究課題
コミニケーションボックスによる stress負荷では、結腸において、proinflammatory cytokine、IFN-gamma が関与する炎症が引き起こされているのではなく、逆に免疫抑制が引き起こされているという知見を得たが、ストレス負荷初期には IL-4 や stress 負荷の慢性時には IL-17a を介する Th2 や Th17 を介した反応が亢進されている可能性が示唆されたが、これらの変化と下痢発症との相関関係は得られなかった。一方、下痢の原因の1つとして考えられる分泌亢進に着目して研究を進めた。分泌性下痢といわれるものは、小腸や大腸の粘膜に存在する腸管上皮細胞が塩素イオン(Cl-)を分泌して起こり、そのためには腸管上皮細胞の塩素イオンチャンネル(Cl-チャンネル)が作動することが知られており、このチャネルとして cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) が知られている。この CFTR の結腸における遺伝子発現を検討したところ、PS 負荷だけではなく MS 負荷においても発現が上昇していることを明らかにした。以上の結果から、マウスの系統差があるものの、stress 負荷時には下痢が発症し、結腸において種々の炎症に関与する遺伝子発現が変動することが明らかになった。また、長期 stress 負荷時には proinflammatory cytokines の発現が減少し、腸内細菌による感染による炎症反応が惹起しやすい可能性も示唆できた。この状況は、結腸において炎症を引き起こしやすく、下痢が発症しやすくなる可能性が非常に高い。また、慢性だけでなく亜急性mentalおよびphysical stress負荷時には Cl- チャンネルである CFTR の発現が増強し、結腸における分泌が亢進し下痢を発症しうる可能性も示唆できた。今後、stress 負荷時の下痢に対する CFTR 阻害薬の効果や stress 負荷時における TRPA1 や TRPV1 を介する消化管の痛覚閾値変動を網羅的に検討して行く必要がある。
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