研究概要 |
我々の研究で、炭水化物を多く摂取する日本人や韓国人では、軽度な肥満にもかかわらず高中性脂肪血症が多く、これは肝臓での脂肪新生(de novo lipogenesis)が原因で、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)発症にも関与していると考えられた(Lancet, 2004, Eur J Clin Invest, 2004)。この脂質新生の促進には、肝臓での酸化ストレスが大きな要因であると予想された(Eur J Nutr, 2011)。そこで実験動物を用い、食事直後の遺伝子発現量の変化と食事誘導脂肪肝マウスを解析することで、酸化ストレスと脂肪肝の関係を解析した。 非アルコール性脂肪肝を発症していない通常マウスに高炭水化物食、高脂肪食、普通食を単回投与し、食事摂取直後の遺伝子発現挙動の解析行うため、肝臓、脂肪組織等の各臓器を採取した。食事摂取後の遺伝子発現の挙動を明らかにするするため、脂質合成・代謝遺伝子の発現を制御していると思われる調節遺伝子(SRBP1c、LXR、PGC1、PPARα,γ)、酸化ストレス関連遺伝子を中心に解析を行っている。また、食事誘導の非アルコール性脂肪肝モデルマウスとして、高炭水化物食、高脂肪食(低炭水化物食、バターを含む)、普通食を等カロリー投与マウスに与える。体重をモニターし、肥満ともに発症する非アルコール性脂肪肝を確認した。 ヒト介入研究、断面研究では、ヒト教育介入研究、島根大学疾病予知予防研究拠点で行っているヒト断面・コホート研究を利用し、食事内容と肥満の関係を解析を行っている。 また、これらのヒト試験の解析から、中枢神経で発現が認められており、これまで日本人では報告されていなかったCNR1多型、同じく中枢神経で発現が認められているMC4R多型で肥満発症リスクと関係していることを公表した。これらは、食行動に関係していると考えられ、現在、解析中である。
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