研究課題/領域番号 |
24790592
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
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キーワード | 微量元素 / 乳歯 / LA-ICP-MS |
研究概要 |
胎児期における有害微量元素への曝露が神経システムの発達に影響を与える可能性が示唆されている。そのため、胎児が実際に曝露している元素量を推測できる指標の開発が望まれている。我々は、レトロスペクティブではあるが胎児期の微量元素曝露指標として、児の成長後の乳歯の出生前エナメル質中の微量元素量に着目した。出生前エナメル質はいずれの乳歯においても顕微鏡的に観察される厚さ0.1mmほどのエナメル質の層である。胎児期に石灰化することから、組成がそのまま児童期まで維持される。しかし、0.1mmと非常に薄い組織であることや、含まれる微量元素濃度が低いことから、これまで正確な評価が困難であった。本研究では、近年各段の進歩をとげている分析装置であるレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計を応用し、出生前エナメル質中の微量元素の種類・量を明らかにする基礎的検討を行った。レーザーアブレーションによりサンプリングする範囲の妥当性、用いるレーザー光の波長、出力、誘導結合プラズマの最適条件ならびに質量分析部について四重極型質量分析計と飛行時間型質量分析計のいずれかについて検討を行った。歯牙の標準試料には、歯のマトリックスに近似すると考えられるNIST SRM 1486 (Bone Meal)を用いた。本研究により乳歯検体のエナメル質における微細部分の微量元素濃度が測定できることが示唆された。なお、乳歯検体の入手について、福島の歯科医院を通じて提供を呼び掛けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
福島の子どもの乳歯について、当該地域の歯科医院の協力を得ているが入手が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発したLA-ICP-MSによる分析法により、乳歯検体の測定を進めていく。乳歯検体は、福島の検体に限らず国内の複数の地域の子どもから提供を受けたものを用いていく。国内の子どもたちの乳歯中エナメル質極少部位ごとの元素濃度について、データを集積していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は福島県下の小児の乳歯が集まっていないため、測定の進捗が十分ではなかった。そのため、実験消耗品や謝金等の支出の必要がなくなった。 平成26年度は福島県の子どもたちの乳歯の収集を勧めるとともに、国内における他の地域の小児の乳歯の分析をすすめていく。
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