胎児期の環境因子曝露は、出生後の児の健康に大きく影響する。東日本大震災時の福島第一原子力発電所の事故により環境中に飛散した放射性物質による人体への健康影響への国民の関心は高い。一部では曖昧な情報による社会混乱の増長が懸念されており、リスクコミュニケーションに必要十分な科学的評価が必要となっている。我々は、胎児期曝露の評価にあたり乳歯の出生前エナメル質に着目しレーザーアブレーション誘導結合質量プラズマ質量分析法(LA-ICPMS)による測定法を確立した。乳歯中の微量元素について、矩形レーザーを用いた測定で乳歯内元素濃度分布を明らかにし、今後の応用が可能であることを示唆した。
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