本研究では老化によるマクロファージ(MΦ)の炎症性応答能低下の分子機序を明らかにするため、LPSに対する腹腔MΦの刺激応答性を2月齢と12月齢のマウスとの間で比較・検討した。その結果、老化初期では、1)炎症性サイトカイン産生能はタンパク質レベルで低下するが、mRNAレベルでは差がないこと、2)Toll様受容体シグナル伝達能には影響がないこと、3)mRNA翻訳を担うeIF-2αのリン酸化が亢進していることがわかった。以上より、老化初期におけるMΦの炎症性応答能低下はmRNA転写後に惹き起こされ、その分子機序にはeIF-2αのリン酸化亢進によるmRNA翻訳能低下が関与している可能性が示唆された。
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