わが国には100万人を超える心房細動(AF)患者がおり、そのQOL・生命予後は著しく損なわれている。AF発症の高リスク例を見いだし発症を積極的に予防すること、発症を早期発見し塞栓症予防に努めることが重要である。しかしながら、AFの新規発症を予測するバイオマーカーは発見されていない。 我々は既に予備解析として横断的研究を行い、高感度心筋トロポニンT(hsTnT)がAFと独立して関連する因子であること、および、hsTnT値が高値であるほどAF有所見率が上昇することを掴んでいる。 本研究では、縦断的研究を通してhsTnTとAFとの因果関係を調べ、hsTnTがAF新規発症を予測するバイオマーカーとなり得るか確認することを目的とする。対象は平成24年度に久留米大学病院で人間ドックを受ける約500名のうち同意が得られたもの、および当科が毎年ボランティアで行っている長崎県宇久町の健康診断受診者である。各評価項目およびhsTnT測定値のベースラインでのデータベース化を行った。 平成25年度は、平成24年度に久留米大学病院人間ドックを受けた症例のうち、インフォームドコンセントを行い、同意を得られた被験者、および平成25年度の宇久町の健康診断受診者に対して予後追跡調査を行った。この予後調査において1年間の病歴聴取に加え、心電図検査を施行しAF新規発症を捉えた。 今後、ベースラインでのhsTnTの値、あるいはベースラインからのhsTnTの増加がAF新規発症の独立した危険因子であるという仮説を検証する。
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