研究課題/領域番号 |
24790601
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
山口 さち子 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 研究員 (30548954)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | MRI / 静磁界 / モーションキャプチャ |
研究概要 |
本研究では、医療現場における作業者が受ける磁界(ばく露磁界)として高磁界を利用した医療機器であるMR装置に着目している。MR装置の漏洩磁界は常時存在するが局所性があるため、立ち位置や検査手順の変更など作業動線で改善が見込まれるため、本研究ではモーションキャプチャより得られる情報(加速度、移動距離、動線など)とばく露磁界計測を同期させたリアルタイム検出システムの構築することで、MR装置のオペレーション時の作業者の磁界ばく露の状況解明を試みた。 平成24年度は①カメラシステムの改良、②作業環境測定、③磁界ばく露リスクに関与する行動要因の探索及び改善提案を実施した。①では、カメラを2台から4台に増加させ、漏洩磁界のあるMR検査室内でも安全に利用できるような非磁性の架台、雲台つきカメラ固定台を作成した。②では、バックグラウンド(地磁気)、検査室入口、MR装置の操作パネルと、MR装置の検査ベッドで6点(先端、中間、末端、かつ、各ポイントのベッドから0 cmと30 cm)の計9点で磁界計測(100回加算平均/秒×60秒)を行ったところ、今回の作業環境では検査ベッド先端から0 cmで最も高い漏洩磁界(373±2 mT)を記録した。③では、頭部、胸部、腹部の3点に磁界プローブを付けた実験衣を作成し、MR検査を行う診療放射線技師2名に着用を依頼した。被験者に着用状態で頭部検査、体幹・四肢検査、患者誘導の3種類の模擬動作を依頼し、模擬検査動作時の行動領域とばく露磁界、滞在時間を記録した。その結果、ばく露磁界の最大値平均は、頭部検査における頭部部位で最も大きく(651±145 mT、N=13)、体幹・四肢検査の腹部で最も低かった(162±67 mT、N=8)。②の漏洩磁界測定結果と③の被験者の行動領域から、本調査でモーションキャプチャを行うカメラ領域と被験者に依頼する作業フローを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、磁界と動作のリアルタイム検出システムを利用するのに先立ち、測定系の確立と被験者に依頼する実験フローの確立が必要である。平成24年度の成果は、実験の事前準備に必要となるカメラシステムの改良、作業環境測定、測定領域の決定を行ったものであり、この結果を用いることで平成25年度に実施する磁界と動作のリアルタイム測定を行うための準備が整ったと考えられるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はモーションキャプチャから詳細な動作情報(加速度、移動距離、動線など)を得る予定である。第一段階として、平成24年度の実験で得られた知見を元に設定した測定領域で動作確認を行う。合わせて、検出領域内で実際に作業フローを実施し、モーションキャプチャの確認を行う。続いて頭部、胸部、腹部の3点に磁界プローブを付けた実験衣の装着を被験者に依頼し、カメラ存在下で磁界と動作のリアルタイム検出を実施予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、漏洩磁界測定を10 cm間隔で三次元的に行うための磁界プローブ支持台の作成費用とデータ蓄積のための外付けHDDを予定している。旅費は、研究成果発表と情報収集のための学会参加に使用予定である。その他費用として成果公表のための英文校正費用を予定している。
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